館長と作家の空想庭園15 (ページ4)

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Valentine Box３ページ4

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３話
【ビターテイスト】

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錦戸亮
渋谷すばる

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　錦戸side

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大好きな、大好きな恋人。

名前は、渋谷すばる。

初めて出会ったのは、高校の部活動紹介。

ギターを弾きながら歌うその姿に、一目惚れしたんや。

ただ、想いを伝えることは躊躇われた。

何故なら「彼」は男やったから。

同性愛者なんて、きっと軽蔑される。

その思いがあったから、なかなか気持ちを伝えることは出来へんかった。

でも、彼の卒業する日。

当たって砕けるつもりで告白したら、まさかのＯＫが出て。

夢ではないかと、たまに今でも思うけど。

幸せな時間は、その思いを忘れさせてくれた。

およそ人には認められへん相手やけど、俺らはそれでもよかった。

ただ、２人で笑い合っていれば、それで。

でも、そんな儚い願いが、叶うことはなく。

彼は俺の目の前で、事故に遭った。

その時の記憶は何故かなくて、穴が開いてるみたいやったけれど。

でも、永遠に手の届かへん場所に行ってしまわなくて、ホンマに良かったと思っている。

それでも、辛く、苦しいことには変わりなくて。

「また、会いに来たよ」

声をかけると、彼は嬉しそうに、でも、ちょっと寂しそうに笑う。

「ごめんなさい、まだ、思い出せなくて……」

その笑顔を見る度に、その言葉を聞く度に。

悲しくなって、涙が零れ落ちるんや。
　