31話 生きてて良かった ページ31
スーパーから出てきた潤は、こちらに向かって戻ってくる雅紀の様子がおかしいことに気が付いた。
「智君なんて？」
「……」
「雅紀？」
「今、大ちゃん来るから…ちょっと待っててもらっていい？」
携帯を返すと空を見上げる。
悲しげなのにどこか嬉しそうな雅紀。
ずっと空を見上げている。
「何かあったのか？」
「……松潤、北海道って本当に空が綺麗だよね」
「雅紀？」
「もう少しこの下にいたかったな」
智の声が聞こえる。
「智君こっちだよ！」
潤が手を振る。
空から目線を外した雅紀。
智の後ろについてきている和也。
雅紀の姿を確認すると走ってきた。
目の前に立つ。
本物。雅紀がいる。
和也の手は思いっきり雅紀の頬を叩いた。
乾いた音が響く。
「おまっ雅紀に何すんだよ！」
「潤君いいから」
智は潤を止める。
「……あなた何やってるんですか？」
「……」
「みんなにどんだけ心配させてると思っているんですか！」
「カズ……」
「どんだけ心配したと思っているんですか!!」
「ごめん」
「どんだけ!!」
和也はしゃがみ込んだ。
「ここまで……あなたが馬鹿だとは」
「うん大馬鹿だね」
雅紀も和也と同じ目線になるようしゃがむ。
優しく微笑む雅紀を見て和也から涙がこぼれた。
怒りが消えていた。
安心して嬉しそうな和也は
「まー君……生きてて良かった」
大粒の涙を流しながら泣き始める。
「ごめんカズ」
そっと雅紀が抱きしめる。
「……うざっ……触んな馬鹿」
ギュッと和也が雅紀の服を握り締めた。
懐かしい憎まれ口。
和也を抱きしめたままで智と潤に視線を移す。
「…俺のことを話さなきゃね」
和也が落ち着くのを待って、ペンションへ戻ることになった。
智から連絡を受けた翔は外で待っていた。
出かけるときはあんなに笑い声を上げていた子供のような雅紀であったのに、車から降りてきた彼は、静寂を身にまとった一人の青年になっていた。
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むつき(プロフ) - あかねこ(o･-･)さん» 初めまして。むつきと申します。楽しんで頂けて感涙です。ありがとうございます。 (2015年1月21日 19時) (
レス) id: 4345b608cc (このIDを非表示/違反報告)
あかねこ(o･-･)(プロフ) - 初めて読ませもらいます。ままだ途中までしか読んでませんが、すごく面白いですね！ (2015年1月21日 14時) (レス) id: 4f1c1844f4 (このIDを非表示/違反報告)
むつき(プロフ) - kaki-pさん» はじめまして。読んでいただきて光栄です！ (2013年1月6日 9時) (レス) id: 7eb0f41743 (このIDを非表示/違反報告)
kaki-p(プロフ) - はじめまして♪HOMEまで一気に読ませて頂きました。面白かったです♪ (2013年1月6日 2時) (レス) id: 0ab9f966ea (このIDを非表示/違反報告)
むつき(プロフ) - ななっちさん» 20分の格闘の末、出来ました。ありがとう。 (2012年8月2日 21時) (レス) id: 983cbf001b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：むつき
| 作成日時：2012年7月21日 21時
