チュベローズ (ページ27)

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廉「ココアでいい？」

『うん』

何週間も来てなかった廉の家は

前と変わりはなく

むしろ綺麗になっていた

.

.

付き合いたてのころ

居心地が良くて1ヶ月くらい居候してたこともあった

『ふふっ』

廉「ん？どうした？」

『あ、いや、居候してたな～って』

廉「ああ、あったな(笑)」

『廉の家が居心地良すぎだったんだよ』

廉「ずっと帰らんかったもんな(笑)
　まあ、俺は嬉しかったけど」

.

さらっとそういうこと言っちゃうんだ

ってところもずっと変わらない

.

廉「はい、どうぞ」

『ん、ありがとう』

.

ココアなんて

普通の男の人の部屋には無いはずなのに

わたしが好きだと言ってから

ずっと置いてある

.

.

廉の見えない優しさとか温かさとか

そういうところがすごく好きで

心地が良くて

.

『わたし、』

廉「ん？」

『わたしね、多分思ってるよりも廉が好きで』

散々汚れてたのに洗い流そうなんて

『始めの頃よりもずっと好きで』

そんなことしちゃいけないのに

『だけど、わかんなかった』

廉、ごめんね

『ごめんね』

数分前の涙と

いま流れる涙の理由(わけ)の違いは

なんだろう

こんなにも罪悪感でいっぱいになることなんて

目を瞑るとふつふつと湧いてくる

この感情はずっと前から

知ってるはずなのに

『廉、ごめんね』