【A3!】マスカレード (ページ5)

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05.入寮"させ"るページ5

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『実はお姉ちゃんにお願いがあって…』

団員のみんなと楽しく喋っていたAが改まって私に話しかけてくる。

いつの間にか支配人までもが談話室でAと挨拶を済ませていた。

そんな中、会話の中心人物が今までとは明らかに違う声のトーンで話すんだからみんな興味津々で、自然と私たち姉妹に視線が集まる。

『数日前、私が住んでたアパートの大家のおばあちゃんがご臨終になって。家出てからずっとそこに住んでたから他のアテが無いんだよね…。

……だからお姉ちゃん、

良い家、知らない？』

「……えっ！？」

『え、なに？』

「そこは『ここに一緒に住ませてくれない？』っていう流れじゃないの！？」

『いや、流石にそこまでは図々しいっていうか』

今まで一人暮らししてきたしね、と言うAの肩を掴んで、ブンブンと前後に揺らす。

「一緒に住もうよ！こんだけいるのに今更1人増えたって特に変わらないって！」

『え、変わるでしょ…』

「お姉ちゃんもう1回Aと一緒に住みたいなぁ」

『うっ…昔から私がそれに弱いの知ってるくせに……』

っていうか酔っちゃうからやめて、と力なく言うから腕を離すと『ふわふわする』と床に腕を付くA。

そんな妹をよそ目に「みんなもいいよね？」と問う。
若干の威圧をかけて。

みんなは口々に同意してくれて、あと説得するのはAだけ！

「ほら、みんなも良いって言ってるから！」

『でも…、ほら、何もしないのに住まわせてもらうのもどうかと思うし』

「ん〜、それなら、演技指導とかすればいいんじゃね！？」

Aちゃん、舞台なら誰よりもキャリア積んでるっしょ！

パチン、と綺麗なウインクをした一成くん。

「…よかった。まだ演劇、続けてるんだね」

『私の唯一の、長所だからね』

毛先が軽く巻かれたグレーの髪を耳に掛けながら薄く微笑む。
全てが様になる私の妹。

「じゃあAは監督補佐ってことで！」

『ホントにいいのかな…？』

「もう、Aったら往生際悪いよ！みんなも良いって言ってるんだから！」

『そっか、…そうだよね！

じゃあみんな、これからよろしくお願いします！』

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