ブルーライトⅤ (ページ8)

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あれから数日後、学校を終えたあたしは家の近くにあるカフェにパソコンを持ち込みせっせと編集をしていた。たとえ落ち込むことがあったとしても動画はあげないといけないので、とりあえず今やれることをやろうと日々を過ごす。悩んでいる時は、普段のルーティン通りに動くのが一番頭を使わなくて良い。ここのカフェはよく来るのでお決まりの所作になっており落ち着くのだ。
しかし、今日はそのルーティンを大幅に逸れる人と会う約束があった。

「ごめーん！待った？」

パソコンの向こう側から、急ぎ足でこちらにかけ寄ってきた女性に視線をやったあたしは小さく頭を下げる。

「お疲れ様です」

目元のギリギリまでマスクをして、黒いキャップを深く被った女性は平成フラミンゴのにこちゃんだ。彼女とは中町綾ちゃんの紹介で少し前に知り合っていた。

「ほんとお疲れなんだよ。なんか知んないけど道路めちゃくちゃ渋滞しちゃっててさぁ、やんなっちゃう」

申し訳無さそうに困り眉になる彼女へ「全然待ってないです」とあたしは頭を左右に振る。パソコンを閉じて店から出る準備をすれば、にこちゃんはすかさず両手を合わせた。

「まじごめんね、飲み物奢るし何がいい？」

「ここ座る前に買ってます」

「あぁ！そっかー、そりゃあそうだよね」

そう言ってドタバタとし出す彼女に、あたしは紙袋に入っていたドリンクを手渡した。

「にこちゃんの分、買っちゃったんですけど良ければ」

「えぇ？やだ、まじで言ってる？」

「でもこの前会った時と同じものなんです」

「覚えててくれたの？うちなんて遅れて来たのにありがとうね」

彼女はわちゃわちゃと忙しない動きをしながらも笑顔でドリンクを受け取った。周囲がなんとなくざわつき始めていることに気づいたあたしは席から立ち上がる。

「お店出ましょう。にこちゃん来てから店内騒がしくなった気がします」

「えっ、そう？うちがうるさいから？」

「有名だからです」

照れ臭そうにするにこちゃんの背中を早く早くと急かすように押し、店内で撮影会が始まる前に店を後にしたあたし達。そんな陽気な平フラのにこちゃんと今日は、初めて二人でご飯を食べる約束をしていたのだ。
予約をしている店へ向かう道中、あたしは先日あったコムドットとのことをにこちゃんに相談してみることにした。