ブルーライトⅤ (ページ13)

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#213 ページ13

LINEの向こう側にいるやまとくんの顔を思い浮かべる。今どうしているんだろう、事務所にいるのかな、あたしのことを考えてたのかな。そういうことを一つ一つ辿って想うだけで体がそわそわする。

また会った時話聞かせてよ
はい、是非
ドラマの話は他のメンバーにも言っていい?
情報公開前に表に出さなければ全然大丈夫です

文章を考えるよりも早く指が自動的に動くあたしは欲深い人間だと思う。一度繋がると、もっともっと強い糸で彼と結びつきたくなるから。

ドラマのこと
一番最初にやまとくんに知らせたかったんです

勢いで送っちゃった。弾けるみたいにそわそわが増して呼吸も浅くなる。言ったところでと思うのに、相手に伝えたい気持ちが勝つ。すぐに既読が付いたが、あたしは反応を待たず追いかけるようにラインを送る。

それでトーク画面開いたらやまとくんからLINE来て
こういうのって多分
運命?
運命かも

目を丸くしたあたしは咄嗟に勢いよくスマホを消した。真っ暗になった液晶には切羽詰まった顔をしている自分が写っている。だって、向こうも同じ事を考えてた。運命って。
またスマホに視線を落としたあたしは何かを強く信じたい、すがるような気持ちでトーク画面を開いた。

まぁ俺はあんまりそういうの信じないタイプだけど

そして一気に脱力した。ガッカリしたと言ってもいい。相手に何かを求めるのはやめよう、なんて自分に言い聞かせて「そうだよね」と呟く。

ドラマ頑張ってね。ゆうた達も応援するって言ってるよ

"ゆうた"。目を細めたあたしはその文字を読んだようで読んでいないフリをしてまた返事をする。

ありがとうございます

それじゃあと会話を終わらせたあたしはスマホを片手にベッドに沈み込む。謝られたことより、ドラマのことより、やまとくんとまた普通に戻ったことが幸せだった。連絡を取らずに会わなかった分、今は爆発するみたいに相手のことを想う気持ちが溢れている。

「言ったら、何かが変わっちゃうのかなぁ」

変わってほしくないけど、変えてみたい。あたしは呪文を唱えるようにそう呟いて、そのまま瞼を閉じた。