ブルーライトⅤ (ページ1)

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#201/yut ページ1

SiDe.ユウタ

Aとやまとのやり取りを見てると喉の奥がヒリヒリと熱くなってくる。不機嫌なやまとが何をAに伝えたいのか、俺はよく分からない。わからないけど、何故か彼と同じでなんだか苛立っていることは確かだった。
確かにAが言ったように、誰といつ撮影をしようが、それは彼女の自由だ。でもそれを口に出して決行してしまうと、色んなものが成り立たなくなる気がする。やまとは少しばかり怒った口調でAに聞いた。

「過去を簡単に清算出来ないのは理解できるけど、じゃあなんで昔の出来事を穿り出す対談動画撮ったの？それこそ、いつまでも過ぎたこと後悔し続けるんじゃなくて、切り替えて前向いたほうが絶対幸せでしょ」

「やまと、一旦やめよう。これなんの話？」

このままでは大火事に発展しそうな会話を止めるべく、俺はAを庇うようにやまとに言ったが彼女はそれを必要とせず口火を切った。

「過去を話すことのなにがいけないの？てかあたしのプライベートな話題に、再生数取れるとかって銘打ってズカズカ踏み込んでくんのやめてくんない？」

彼女の言葉は刃物みたく鋭利で、受け止めるには俺の器が足りない。しかしやまとは表情を一つとして変えずに首を左右に振る。

「確かに…再生数を無視したって言ったら嘘になるけど、動画を絡めてAの気持ちがマシになれば良いっていうのは本気で思った。でもそこまで言うなら、俺からはもう言うことはない」

やまとの言葉で、押し黙るAがぎゅうと唇を噛んだのが見えて、咄嗟に足を踏み出し手を差し入れた俺は彼らの間に割って入る。

「なんでそうなるの？一回待とう。まず二人とも落ち着いて。とりあえず"やまととA"じゃなくて、"コムドットとA"とで話そうよ」

「…いや、いい。今はもう話したくない」

険しい顔をした彼女は俺の提案を拒否してやまとから視線を逸らした。

「えっ……と、ドッキリ…じゃないですよね、さすがに…」

場の空気を和ませる為か、ゆうまが間の抜けた調子で言ったがその台詞すらも余計に雰囲気を悪くさせる。おそらく、誰もがドッキリであってくれと願ったその瞬間、Aが勢いよく立ち上がった。

「ごめんなさい、空気悪くして。あたしちょっと頭冷やしてくる」

スマホを手にしたAは俯いたまま部屋から出て行く。唐突に起こった出来事にポカンとしているゆうま達を尻目に、俺は彼女を呼び止めようとするがやまとに右手で阻止された。