恋に焦がれ愛で死ぬ ページ31
××
「いつから気づいていた」
グレイブス、否、グリンデルバルドはグレースの額に杖を突きつけた。その瞳は怒りに染まっている。しかし、グレースは眉ひとつ動かさず、グレイブスを見つめていた。
「正直、確証は持てなかったけどあなたのその顔を見る限り、事実のようね」
「あぁ事実だとも。
君の最愛の
グレースの美しい瞳が、恐ろしいものを目にした時のように恐怖で濁っていく。どう、して。絞り出すような声だった。
「どうして……どうしてそんなことを……」
「彼等は魔法界を裏切った。
本来なら君も死刑に値する。だが、私は君を気に入っているのだよ。君を殺したいと思う程度にはね」
「……それは憎悪ね。何故あなたは私やニュートを憎むの?ダンブルドアのお気に入りだったから?」
「ダンブルドアは関係ない。寧ろ、ダンブルドアを愛していたのは君の方だろう?」
グレースは無言でグレイブスを睨む。
グレイブスは彼女の額に杖を突きつけたまま、言葉を紡ぐ。
「君の恋はいつだって、叶わない。 初恋はアルバス・ダンブルドア。 二度目の恋はニュート・スキャマンダー。……ああ可哀想に。君を愛してくれる男はいない」
「……」
「アドラー家の者は幸せにはなれない。呪いがかけられている。アドラー家は滅び行く一族だ」
私なら、その呪いを解いてやれる。
グレイブスは彼女の額から杖を離し、手を差し出した。その手を握ればもう後には戻れない。グレースは差し伸ばされた手を見つめ、ふっと口許を歪めた。
「遠慮しとくわ」
「……何故だ」
「あなたの所に行ったって、私はあなたを愛さないし、あなたもまた、私を愛さないでしょう?なら、私を愛してくれなくても私は、私が愛した人の側にいたい」
グレースは微笑み、グレイブスの頬に触れた。
「私が予言してあげる。貴方は最期、愛を守り抜いて死ぬわ。
だってあなたは、愛を理解しているはずだもの」
「バカバカしい!」
グレイブスは感情に任せ、拳を振り上げた。
乾いた音が響き、グレースを殴ったと気づいたときには全てが遅かった。彼は自分の手を見つめる。殴るつもりではなかった。傷をつけるつもりでもなかった。しかし、彼は手を上げた。それほどまでにグレースが放った言葉に
部屋の外で、警報が鳴り響いていた。
***
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ゆずこたつ(プロフ) - いや、もうなんていい作品…泣きすぎて目が腫れました…これからも頑張ってください‼︎ (2022年4月18日 15時) (レス) @page46 id: f9853265aa (このIDを非表示/違反報告)
柊あんず(プロフ) - リーフィーシードラゴンさん» コメントありがとうございます!わ〜〜嬉しいです…!長い間更新停止していて申し訳ない…想い人のためならなんだってするのがグレースなのでね…!体調のお気遣いまで…有難いです…!更新頑張りますね!! (2020年11月9日 0時) (レス) id: 30d83766f8 (このIDを非表示/違反報告)
リーフィーシードラゴン(プロフ) - はじめまして!久しぶりに開いたら更新されていて読ませて頂きました!グレースがいい子すぎて泣けるしどうか幸せになって欲しい、ぐぬぬ……。体調に気をつけながらも今後の更新頑張って下さい! (2020年11月8日 13時) (レス) id: 8a9bd162c1 (このIDを非表示/違反報告)
柊あんず(プロフ) - 浅葱さん» コメントありがとうございます!!ニュートとの進展…第二部ではニュート側の感情なども書いていきますのでぜひお楽しみに…!今月か来月かには第二部にいけると思いますので引き続きよろしくお願いいたします!! (2020年10月7日 2時) (レス) id: 30d83766f8 (このIDを非表示/違反報告)
浅葱(プロフ) - あっという間に読み進めていきました!とても面白いです、ニュートと主人公の関係は進展するのかとハラハラしてます。更新頑張って下さい!応援してます! (2020年10月4日 21時) (レス) id: 72c04e1480 (このIDを非表示/違反報告)
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