35.Rainy ページ35
パルチザンによって貫かれたアシェルの体が崩れ落ちていくと同時に、呪いによって黒く染っていたアシェルの前髪が俺たちと同じ、金に戻っていくのが視界に入る。
魔法を解き、崩れ落ちるアシェルに慌てて駆け寄り、向い合い抱き締めるように受け止める。俺にもあまり力は残されておらず、抱き合ったまま、膝から崩れ落ちた。
「アシェル……。」
その存在を確かめるように強く、抱きしめる。
血で服が汚れようが構わなかった。
冷たい。
俺の知らない体温であった。
いや、随分と長い間触れ合っていなかったから、いつからこうだったのかすらも分からないくらいで。
ただ、きっと、アシェルは昔のように暖かい人間だったのだろう。
冷たい体を抱きしめて、そう思った。
「アシェル、アシェル。」
当然、声は返ってこない。
「アシェル、すまない、すまなかった。頼む、頼むから、目を覚ましてくれ。」
頼む。
分かっている。
分かっているが、受け止めきれなかった。
守りたくて、神覚者まで登り詰めたはずだ。
守りたくて、突き放したはずだ。
大切な人たちが、幸せに暮らせる世界を望んでいたはずだ。
その結果がこれだ。
なにが、神覚者だ。
なにが、兄だ。
「なぁ、アシェル。なんでそこまで背負い込んだんだ。頼ればよかったじゃないか。面倒事なんかは全部、全部俺に任せればよかったんだ。」
涙が、こぼれ落ちる。
いつだってアシェルはフィンを守ろうと一人で頑張っていた。
そんなことだって、俺に任せればよかったのだ。
「次は、絶対に、幸せになるんだぞ、アシェル。」
そっとアシェルを寝かせ、上着をかけてやる。
「行きましょう。」
「レイン？」
「まだ、まだ戦いは終わっていない。」
ここで、アシェルの残してくれた道を閉ざしてなるものか。
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ほり。(プロフ) - 作者様天才すぎませんか？！とっても面白いしストーリーは涙なしではとても見られません！！これからも頑張ってください！応援してます！！ (3月31日 22時) (
レス) @page37 id: a556898cd7 (このIDを非表示/違反報告)
ありさん(プロフ) - めっちゃ面白い！！！ほんとにあなた様天才ですよこんな面白い物語書けるなんて！！！いつも楽しみにしてます！！！頑張ってください！！！！！ (3月30日 6時) (レス) @page23 id: d57e220c95 (このIDを非表示/違反報告)
ソラサン(プロフ) - スッゴい面白いんで頑張ってください!!!!こういうドロドロ系？大好きなんで！ (3月28日 23時) (レス) @page22 id: 8b4b86c7c1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小坂谷 真夜 | 作成日時：2024年3月18日 22時
