31.Nyx ページ31
辿り着くのに随分と時間がかかってしまった。
既にみんなは満身創痍で、手も足も出ないような状況下であった。
「そろそろ終わらそうか。」
「フィンッ!!」
箒を投げ捨て、魔法を使ってフィンの前に出る。長男、ドゥウムによって吹き飛ばされる直前にフィンを抱え込み、出来るだけ衝撃を少なくしてやるようにして攻撃を請け負う。
「アシェル兄さま…!?」
「今、フィンを守れるのは俺しかいないだろッ……。」
フィンの盾になるように立ち上がり杖を構えるが、元々体がボロボロなことも相まって、先程の一撃が身体に響く。
「アシェル・エイムズ。もう呪いで身体が崩れ始めてるんじゃないのか?」
「え?」
「崩れるからなんだ?」
パキリと音を立てて顔や腕の皮膚が落ちていく。
「守れるなら、それでいい。」
「兄さま無茶だ!」
圧倒的不利な状況はよく分かっている。
体は痛くて苦しくてたまらない。
それでも、俺は、フィンを、レインを、家族を。
守りたかった。
「スキアセコン、、ズッ!」
「その前に楽にしてやる。」
「ガハッ!」
「アシェル兄さまッ!!」
上手く魔法が発動しない。
攻撃が急所付近に直撃し、血飛沫が舞うと共に激しい痛みが襲う。
焼けるように痛い。
苦しい。
「グラビオル」
ドゥウムにランス君の重力魔法がかかる。
その隙に、フィンをなんとか抱えて影を伝って出来るだけ遠くへ、かつ加勢できる範囲でできるだけ離れる。
意味の無いことかもしれない。
それでも、フィンが生き残れるわずか1%にかけるしか無かった。
「それ以上、フィンとアシェル先輩に近づくな。」
そこから、レインやドット君、オーター様の攻撃が続くも、効いている様子はない。
お願い神様。
俺に、力を貸してください。
弟を、兄を、守れるだけの力を。
「サモンズ、
「アシェル!!」
自分の杖が一本の月を模した長い杖へと代わる。右頬がやけに熱い。
負けたっていい。1秒でも時間さえ稼げれば。
固有魔法を駆使するも、神覚者が束になっても勝てない相手なだけあって、攻撃がかすりもしない。
「呪いの発動を抑えても無駄だぞ。」
「俺は、絶対に呪いに屈しない。」
「そうか。」
「ヴァッ!」
もう一度攻撃を受け、その衝撃で俺の意識は途絶えた。
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ほり。(プロフ) - 作者様天才すぎませんか?!とっても面白いしストーリーは涙なしではとても見られません!!これからも頑張ってください!応援してます!! (3月31日 22時) (レス) @page37 id: a556898cd7 (このIDを非表示/違反報告)
ありさん(プロフ) - めっちゃ面白い!!!ほんとにあなた様天才ですよこんな面白い物語書けるなんて!!!いつも楽しみにしてます!!!頑張ってください!!!!! (3月30日 6時) (レス) @page23 id: d57e220c95 (このIDを非表示/違反報告)
ソラサン(プロフ) - スッゴい面白いんで頑張ってください!!!!こういうドロドロ系?大好きなんで! (3月28日 23時) (レス) @page22 id: 8b4b86c7c1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:小坂谷 真夜 | 作成日時:2024年3月18日 22時