30.Brothers ページ30
時が進み、鏡には四男と闘うレインが映し出されていた。
そこでは、フィンがパルチザンによって囲われており、どんなにボロボロになろうが頑なにレインはフィンの加勢を拒んでいる。
辞めてくれ。
もう、辞めてくれ。
これ以上、俺の家族を、傷付けないでくれ。
パルチザンの檻に寄りかかるレインと、レインに駆け寄るフィンの会話が鏡越しに聞こえる。
『テメェはこんなとこ居ねぇで、普通の人生を送って、普通の家庭をもって、今まで親が居なかった分子供にたくさん愛をそそいで、普通に老いればいいんだよ。』
なんだよ、それ。
『悪い奴やめんどくせぇことはオレに任せりゃいい……。』
なんで言ってくれなかったんだ。
なぁ、レイン。
なんで勝手に抱え込むんだ。
言ってくれればよかったじゃないか。
そうしたら、フィンも傷付かずに済んだし、俺たちは正しく兄弟であれたんだ。
バカヤロウ。
レインの、大馬鹿者。
『僕は、兄さまたちがいるだけでずっと幸せだったよ……。だから頼ってよ……。僕たちこの世でたった3人の兄弟だろう……。』
フィンのその言葉に居てもたってもいられず、呪いで痛む体にムチを打って立ち上がる。そして、杖を手に取り、謹慎を無視して窓から箒で空を飛んだ。
街は混乱に陥り、みんなが鏡に注目し、みんなが闘う者達の勝利を願い、みんなが不安を感じている。そんな様子を目にもくれず、ただひたすらに、遠くにそびえるマゴル城を目指して空を飛ぶ。
ごめん、ワース。
あの時の言葉は嘘だ。
真意を知っても許すことが出来ないなんて、変わらないだなんて、嘘だ。
許せない、けど、守りたい。
フィンを、レインを、助けなければ。
「お願いだから、無事でいてくれ、頼む。」
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ほり。(プロフ) - 作者様天才すぎませんか?!とっても面白いしストーリーは涙なしではとても見られません!!これからも頑張ってください!応援してます!! (3月31日 22時) (レス) @page37 id: a556898cd7 (このIDを非表示/違反報告)
ありさん(プロフ) - めっちゃ面白い!!!ほんとにあなた様天才ですよこんな面白い物語書けるなんて!!!いつも楽しみにしてます!!!頑張ってください!!!!! (3月30日 6時) (レス) @page23 id: d57e220c95 (このIDを非表示/違反報告)
ソラサン(プロフ) - スッゴい面白いんで頑張ってください!!!!こういうドロドロ系?大好きなんで! (3月28日 23時) (レス) @page22 id: 8b4b86c7c1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:小坂谷 真夜 | 作成日時:2024年3月18日 22時