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23.Confinement ページ23

「ここは…?」

呪いのせいで苦しくなって、街中で倒れて、それから。

起き上がり見渡すと見知らぬ部屋であることが伺える。ピンク髪の、暖かい手に大切に抱えられたところで俺の記憶は途絶えていた。

その記憶通りに行くのであれば、この部屋の持ち主は俺を助けてくれた人だろう。

「目、覚めました?」

ドアが開き、その先から顔を覗かせたのはピンク髪の少年だった。彼は扉を閉めたあと、俺の寝ているベッドに腰掛けた。

「あ……。すみません、介抱までさせてしまって。」

ズキンと痛む頭を抑えて起き上がる。その様子を見た彼は無理に動かなくていいと、俺をそっとベッドに押し返した。

「俺は、」
「アシェル・エイムズ。知ってますよ。」
「え?」

怖い。

得体の知れない恐怖に包まれる。

後退る場所などないのに、無理に起き上がり、行き場の無い手をベッドに着く。いけない。ここにいてはいけない。そう警鐘が響く。


「僕はドミナ。ドミナ・ブローライブ。」


彼、ドミナは俺の顔を割れ物を扱うかのように優しく撫で上げた後、反するように俺の腕を強く掴んだ。


「策を練られると困るんだよ。お父様が迎えにきてくれる日まで、アシェル。キミは僕が預かる。」
「まさかッ!」


呑気な俺はそこで初めて気が付いた。頭痛も、胸の痛みも、呪いが進行しているのもあるが、近くに無邪気な淵源(イノセント・ゼロ)の仲間がいたから、いや、口振り的に血を次ぐ者がいたから、あんなに激しく痛みを増したのだ。

つまり、俺は計画的に誘拐された。

咄嗟に杖を探すものの、当たり前のように杖は取り上げられており、何もすることが出来ない。

「逃げるな。」
「い、やだ!」
「まだ抵抗するの?」

同じくらいの体躯だと言うのに、まるで力では敵わない。

怖い。

助けて欲しい。

誰か。

そんなことを言えるわけでもなく、俺はその場で必死にもがいた。


「安心して。お父様の大切な駒である君を傷付けたりしないから。」

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ほり。(プロフ) - 作者様天才すぎませんか?!とっても面白いしストーリーは涙なしではとても見られません!!これからも頑張ってください!応援してます!! (3月31日 22時) (レス) @page37 id: a556898cd7 (このIDを非表示/違反報告)
ありさん(プロフ) - めっちゃ面白い!!!ほんとにあなた様天才ですよこんな面白い物語書けるなんて!!!いつも楽しみにしてます!!!頑張ってください!!!!! (3月30日 6時) (レス) @page23 id: d57e220c95 (このIDを非表示/違反報告)
ソラサン(プロフ) - スッゴい面白いんで頑張ってください!!!!こういうドロドロ系?大好きなんで! (3月28日 23時) (レス) @page22 id: 8b4b86c7c1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:小坂谷 真夜 | 作成日時:2024年3月18日 22時

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