22.Kidnapping ページ22
勢いで魔法局を飛び出し、人気の少ないマーチェット通りの外れを歩く。
ホウキで帰りたいところだったが、生憎と連れてこられた身のため、歩いて帰る他なかったのだ。
立ち止まって先程のレインとのやり取りを思い出す。
昔は、こうではなかったはずだ。
父と母が死んでから、親戚の家をタライ回しにされた頃はまだ、三人で仲良くやれていたはずだ。フィンを守ってやらねばと互いに思っていたはずだ。
何が、何があってこうなったのか。
いつから、こうなってしまったのか。
もう思い出すことも出来ない。
いや、思い出したところでなんだ。
この溝は埋まることは無いだろうし、レインが変わるとも思えない。
「……急いで帰ろう。」
そう思って足を再び動かそうとした時だった。
「うぁ、」
苦しい。
痛い。
熱い。
激しく胸と頭が痛むのを抑えるように右手で頭を、左手で胸を抑える。
ドクリ、と動悸がする。
まるで、あの時のような。
ここまでもう呪いが進行しているのか?だが、あの煩わしい、不快な声は聞こえない。
苦しい。
痛い。
熱い。
耐えられなくなり、膝から崩れ落ちたのを誰かに抱きとめられる。
「見つけた。」
「だ、れ……?」
上手く声が聞き取れない。
声を、人を、確かめるように視線だけをあげると、顔は涙で滲んではっきり見えないものの、ピンク色の美しい髪がフードの下から見えた。
その人は優しく、丁寧に俺を抱き上げる。
安心するようなその暖かみに、瞼がゆっくりと落ちていく。
「あり、が、と……。」
意識はそこで途絶えた。
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ほり。(プロフ) - 作者様天才すぎませんか?!とっても面白いしストーリーは涙なしではとても見られません!!これからも頑張ってください!応援してます!! (3月31日 22時) (レス) @page37 id: a556898cd7 (このIDを非表示/違反報告)
ありさん(プロフ) - めっちゃ面白い!!!ほんとにあなた様天才ですよこんな面白い物語書けるなんて!!!いつも楽しみにしてます!!!頑張ってください!!!!! (3月30日 6時) (レス) @page23 id: d57e220c95 (このIDを非表示/違反報告)
ソラサン(プロフ) - スッゴい面白いんで頑張ってください!!!!こういうドロドロ系?大好きなんで! (3月28日 23時) (レス) @page22 id: 8b4b86c7c1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:小坂谷 真夜 | 作成日時:2024年3月18日 22時