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15.Curse ページ15

次に瞬きをした時には景色が変わっており、その変わりように動揺する。

「なにが、起こってる?」

そこはまるで、時が止まったような空間だった。フィンは固まったまま、近くではドット君とランス君だけが動けるようだった。

『あぁ!お父様が迎えに来てくれたッ!さぁ、アシェル!行こう!お父様の元へ!』

校長がなにか語り掛けているが、不快な声に掻き消されるように校長の声が滲んで上手く聞き取れない。

代わりに、校長の前に佇む人物から向けられた視線に応えるように己の視線を闘技場内に下ろすと、フードの中から赤い目が俺を捉えた。

「久しいな、アシェル・エイムズ。」
「どうも。」

名を呼ばれ、誰よりも先に闘技場内へと飛び降りる。
どうせカルド様にはバレているのだ。この際どう動いたって変わらないだろう。

フィンの傍を離れるのは本意ではない。

でも、俺が原因でフィンに危害が及ぶことはあってはならない。

「迎えに来たのだが……、答えは変わらないのか?」
「えぇ。」
「本当にお前は不思議なやつだ。」
「くッ!」
「アシェルッ!」

無邪気な淵源(イノセント・ゼロ)が杖を振るった瞬間、胸が激しく痛む。それを抑えるように胸を掴み、前に倒れ込む。

校長が俺に駆け寄ろうとするも、それを制止するように無邪気な淵源(イノセント・ゼロ)が俺の顎を掴み上げた。

「この俺に歯向かうとは、想定外だが興味深い。」


熱い。

痛い。

苦しい。


不快な声の笑い声が頭に響く。



焼けるように全身が熱い。

倒れて蹲りたいのに、無邪気な淵源(イノセント・ゼロ)の手がそれを許さない。


自分の中で何かが作りかえられているような、そんな唾棄すべき感覚だった。


「呪いの進行速度を早めた。」
「はは、だ、から、なん、です?」
「まぁいい。ならば全力で連れていくか、殺すかだ。」
「ッ!」

次第に熱さや痛み、苦しみがマシになっていく。

その隙をついて、固有魔法を使って影に沈み、無邪気な淵源(イノセント・ゼロ)から離れると、俺はなんとか杖を構えた。

「後でまた迎えに来るよ、アシェル。」

そう告げると、無邪気な淵源(イノセント・ゼロ)は校長の魔法によって消えて行った。

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ほり。(プロフ) - 作者様天才すぎませんか?!とっても面白いしストーリーは涙なしではとても見られません!!これからも頑張ってください!応援してます!! (3月31日 22時) (レス) @page37 id: a556898cd7 (このIDを非表示/違反報告)
ありさん(プロフ) - めっちゃ面白い!!!ほんとにあなた様天才ですよこんな面白い物語書けるなんて!!!いつも楽しみにしてます!!!頑張ってください!!!!! (3月30日 6時) (レス) @page23 id: d57e220c95 (このIDを非表示/違反報告)
ソラサン(プロフ) - スッゴい面白いんで頑張ってください!!!!こういうドロドロ系?大好きなんで! (3月28日 23時) (レス) @page22 id: 8b4b86c7c1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:小坂谷 真夜 | 作成日時:2024年3月18日 22時

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