11.Empathy ページ11
「おかえりなさい、アシェル先輩。」
「ただいまです、シュエン、ワース。」
戻る頃には一次試験が終わり、二次試験に進んだばかりだった。
ラフレの鏡を見る限り、フィンは一次試験を通過したようだが、変わらず震えて泣いているフィンを見て、心配になる。
どうか、どうか無事でありますように。
そう思っていると、隣に座っていたワースが突如として立ち上がった。
俺とシュエンは視線を鏡からワースに移す。
「ワース、帰るのですか？」
「……やな奴を見かけたもんで。」
やな奴。恐らく彼の兄の事を指しているのだろう。カルド様がこの場にいるんだ。オーター様だって居てもおかしくない。
ワースの幼馴染であるシュエンも、それを察したのだろう。
「俺もついて行きます。シュエンはどうしますか？」
「僕はもう少し見ることにします。アシェル先輩、
そうして二人で席を立ち、会場を後にする。
「フィンを見なくていいのか？」
「今、その状態のワースを放っておいたほうが、フィンに顔向けができません。」
ワースは気を遣ってくれたのだろう。会場を出てすぐの壁沿いに座り込んだ。
フィンのことを見なくていいのかと問われれば、本当はみたい。気が気でならない。きっと今頃も泣いているだろう。
そして、泣いてでも、出ると決意したフィンを見守りたい。
でも。
大切な友人を放っておくほど俺は冷徹では無いし、俺がレインと何かあった時、側にいてくれたのはワースだった。
だから、俺はワースに着いてきたんだ。
「……アドラ寮の一年、ランス・クラウンに負けた時。吹っ切れたはずだったんだけどな。」
「しがらみやトラウマは、そう簡単には消えませんよ。俺だって、レインの真意を知り、それがたとえどんなものだったとしても、今更レインのことを心の底から気を許せるかと言われればそうじゃありませんし。ましてやワースは話してすらないのでしょう？」
オーター様はワースの見舞いに一度も来なかったと言う。
家族とは、なんなんだろうか。
少しは気にしてやったらいいのに。
ふとレインと重ねて苛立ち、拳を握りしめる。
「…アシェル。お前が弟だったら良かったのになァ。」
「やですよ。ワースみたいなのは友人が一番です。」
「なんだよみたいなのはって！！」
「ウッ！それ以上近付かないでと言ったでしょう？！ワース！！」
「このッ！！」
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ほり。(プロフ) - 作者様天才すぎませんか？！とっても面白いしストーリーは涙なしではとても見られません！！これからも頑張ってください！応援してます！！ (3月31日 22時) (
レス) @page37 id: a556898cd7 (このIDを非表示/違反報告)
ありさん(プロフ) - めっちゃ面白い！！！ほんとにあなた様天才ですよこんな面白い物語書けるなんて！！！いつも楽しみにしてます！！！頑張ってください！！！！！ (3月30日 6時) (レス) @page23 id: d57e220c95 (このIDを非表示/違反報告)
ソラサン(プロフ) - スッゴい面白いんで頑張ってください!!!!こういうドロドロ系？大好きなんで！ (3月28日 23時) (レス) @page22 id: 8b4b86c7c1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小坂谷 真夜 | 作成日時：2024年3月18日 22時
