2.Quarrel ページ2
「おい、どういうつもりだよ。」
雨の中、俺達は傘もささずに向かい合った。
どこで俺たちは間違えたのだろうか。
俺は目の前の兄＿＿レイン・エイムズ＿＿の考えていることはさっぱり分からなかった。
「何か言えよッ！」
もはや俺だけが杖を構えている状況にすら腹が立つ。
兄にとって俺は、俺たちはその程度の存在だったのだ。
何が神覚者だ。
家族一人も守れない癖に。大切に出来ないくせに。
「……お前に、何が出来る。」
「アンタと違って弟を守るくらいはできる。」
「そうか。」
兄はどうやらもう名前すらも呼んではくれないらしい。
レインはある日を境に変わってしまった。昔は俺とフィン、二人の手を引いて俺たちを支えてくれていたはずだった。それが、何がレインを変えたのだろうか。
レインがフィンを突き放す姿はとても見ていられなかった。
なぜ。
何故そんなことが出来る。
「二度と、二度と俺にそのツラを見せるな。」
そう告げれば、兄は何も言わずにこの場を去っていく。
ローブの背に描かれた剣のマークがなんとも憎らしかった。なにが、なにが神覚者だ。
「おい、アシェル。風邪ひくぞ。」
「ワースですか。」
「あー、なんだ。窓から見えたからよ。」
様子を見ていたのだろう。校舎から傘をさしながら歩いて来たワースは俺にもう一本傘を差し出す。受け取ろうと思ったが、なんとも自分が惨めに思えて、一度前に出した手を引っ込めた。
「いい、どうせ濡れてますし。」
「ハ〜、随分と頑固者なこった。」
「頑固者で結構です。」
ワースはおもむろに傘を閉じ、俺と同じく雨に打たれる。たった一年。たった一年の仲だが、ワースのこういった優しさはなんとも不器用であり、好ましかった。
先輩である彼は何かと俺を気にかけてくれる。
そして俺もその好意に甘えていた。
「……あんま抱え込むなよ。」
「分かっています。」
これが、新学期前の長期休みの話であった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 200人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ほり。(プロフ) - 作者様天才すぎませんか？！とっても面白いしストーリーは涙なしではとても見られません！！これからも頑張ってください！応援してます！！ (3月31日 22時) (
レス) @page37 id: a556898cd7 (このIDを非表示/違反報告)
ありさん(プロフ) - めっちゃ面白い！！！ほんとにあなた様天才ですよこんな面白い物語書けるなんて！！！いつも楽しみにしてます！！！頑張ってください！！！！！ (3月30日 6時) (レス) @page23 id: d57e220c95 (このIDを非表示/違反報告)
ソラサン(プロフ) - スッゴい面白いんで頑張ってください!!!!こういうドロドロ系？大好きなんで！ (3月28日 23時) (レス) @page22 id: 8b4b86c7c1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：小坂谷 真夜 | 作成日時：2024年3月18日 22時
