【仮面ライダーエグゼイド】colorful drops【短編集】2

いつも一緒に4 ページ11

「多くの人間が出会い、別れていく。全ては偶然に過ぎない……」

「……」


飛彩先生はわたしを見つめた。


「せんせ…？」


「この無数の灯りの中でお前に出逢えた。…それはおそらく奇跡に近い…」


その瞳にわたしが映ってる。

早鐘みたいに鳴ってる胸の中。
ゆっくりと頬に触れられて、少しだけ上を向かされて。
真っ直ぐにわたしを見つめるその氷のような瞳。


「A、誕生日おめでとう……。

お前は俺の…、何よりも大切な存在だ……」



その瞳が迫ってきて、そっと目を閉じた。


「＿＿＿」


唇に触れた感触。

目を閉じたままで感じるその熱。


優しいキス。



そうだね

こんなに沢山の灯りの中でたった一人のひとに出逢えるなんてコト。

ほんとに奇跡みたいだよね？


……飛彩先生に出逢えたコト……


……きっと奇跡だね……



そっと唇が離れて、まだわたしの頬に触れたままの大きな手。


「…何を願った」


「え…？」

「ケーキの火を消す時だ…」

「……それは…、」


つい黙り込む。


「…それはね…っ」


口を開きかけた時、


ピリリ
「！！」


鳴り響いた呼び出し音。

「急患だ…、すまない…」

そう言って踵を返した先生。
思わず白衣の袖をきゅっと握り締めてた。


「…っ…」


「！A…？」


「行っちゃやだ…」


「何を言い出す」


「わたしのお願いゴト…っ、ひいろ先生と一緒に居るコトだよ？
いつも先生忙しくて、あんまり傍にいられないから…せめて誕生日だけでも一緒に居て……」


「…A…」


泣きそう。こんなこと言っても困らせちゃうだけなのに。

ぽろ、と涙が落ちて……手を離した。


「……なんてね。

…ごめんね…、ただのワガママだね…」


ちょっと笑ってごまかしたら…、いきなり先生の腕の中にぎゅっと抱き締められた。

「っ！」

「…強がるな。……たとえ傍に居られなくともお前は此処にいる…」


ぎゅっとその白衣の胸に顔を押し付けられて。


「俺の心の中に」


「！」


「いつでもお前を想っている」


「…っ」


「それだけは…、忘れるな」


そう言ってひいろ先生はほんの少し微笑んだ。


「……うん…っ…！」


涙を拭ってニコッと笑った。

遠ざかってくその白衣の後ろ姿をずっと見つめてた。


ひいろ先生はドクターだから。

いつも傍になんて居られない……。



だけど、きっと心は一緒に居るから。


いつだって。





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