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「暑い、アイス…」
「はあ…全く、だらしがないね。」
「精市、アイス買ってきて。」
「却下。」
幸村精市、
アイスを買うことに対して、即却下。
暑い夏の日には、
栄養もあって、冷たくて甘いアイス、
食べたくなるのは、仕方が無いじゃないですか?
「あああ……暑いいいい…」
じりじりと日差しが照りつける中、
近くのコンビニへと、
足を運ぶ、幸村皐、24歳_
己の欲望のために汗水流しながら、
やっとの事で、クーラーの効くコンビニまで、
たどり着く。
「あ。」
「お、皐じゃねえかよ。
お前もアイス、買いに来たのか?」
コンビニで会ったのは、
派手な赤髪の丸井ブン太。
彼の片手にはアイスの袋があり、
どうやら買い終わった様子。
「おーお、ブタくんは今日も立派に太る準備ですか?」
「んなわけねえだろい?
暑いからお前と同じようにアイスを買いに来たんだよ!」
「どーだか。」と、鼻で笑い飛ばすと、
ムッ、としていた丸井が、突然真剣な表情で、
じっ、と一点を見つめてくる。
何かあるのか?と思い、
同じように視線の先に目をやるが、
特に、何もない。
「……なあ、皐、」
「なんだブタくん、肝試しでもしたいの?」
「なんでそうなるんだよ…
そうじゃなくて、幸村くん、お前に何も言わなかったのか?」
「“何も”て、何が?」
丸井の言う“何も”が、もしも「大事な話」だとしたら、
あとで何を言ってやろうか、なんて
考えていると、
「あー、悪い、悪い。
幸村くんが何も言わなかったなら、
別に何も気にしてないってことでいいや。」
「は?」
「じゃあ、俺、先帰るからな!
仲良くやれよ?幸村くんと!」
ニシシッ、と笑った彼は、
手を振りながら、コンビニから出ていく。
丸井の発言に、皐はまた首を傾げたが、
取り敢えずアイスが食べたいため、即座に、購入。
「あっつ…ただいま…」
「おかえっ……皐、
あれほど忠告したのに、
君は話を聞いていないようだね。」
「はあ?何が、」
「言い訳は聞かないよ。」と冷たく発した幸村は、
疲れて下駄箱の前に座る皐の腕を掴み、
リビングのところで、正座をさせた。
勘弁してくれ、と心で思いながら、
小一時間ほど、幸村に説教をされる事となる。
「ノースリーブなんて、
着てる女子沢山いんだろうが!!」
「俺がダメって言ったらダメ。
拒否権なし。」
「知るか!!」
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