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｢あー、じめじめする…」
｢皐、ソファの上で寝てないで
少しはこっちを手伝ってくれないかい？」
｢気が向いたらねー。」
雨の日が、ここ１週間、
ずっと続いている。
天気予報では、午後から晴れる予定らしいが、
晴れる気配が全くない。
皐はソファの上でだらしない格好で
寝転がりながら、
飼い犬の｢マロ｣と、
わいわいキャッキャッと、遊んでいる。
｢皐、掃除機かけるから。」
｢了解、どうぞー。｣
｢ねえ、だから、俺は退いってって言ってるの｣
ぐで、としただらけた格好のまま、
彼女は俺を見上げる。
どうやら退く気もないし、
適当に会話を流す気満々なのだろう。
少し、こっちの身にもなって欲しい。
幾ら夫婦になったとはいえ、
気まずいことには、気まずい部分もある。
だから、暑いからと言って
無闇に肌を露出させるのには、
限度というものがあるということを。
｢んー、精市くん、何か言いたいことでも？｣
｢服、めくれてる。｣
｢今更なんだけどそれ…｣
｢いいから直して。｣
幸村は、服装に煩い。
それは｢夏場だけ｣とは限らずに、
基本的に年がら年中、人の服装に拘る。
｢精市くん、
君は私の服装にケチをつけすぎ。｣
｢だって、
だらしない贅肉が見えてるよ？｣
｢だらしなくないわ。
引き締まってて、ボディービルダー並みだわ。｣
それは、それで
まずい気がするが。
幸村は、何度目か分からないため息をつくと、
持っていた掃除機を置き、
｢うわあああ！！！
なにすんだよ、バカ！｣
｢直せって、
俺は何回言った？
直さない皐が悪いんだよ。｣
｢降りろ！私の上から退け！！｣
｢あー、俺、何も聞こえないなー。｣
幸村は寝転がる皐の上に乗ると、
捲れているすぐの裾をつかみ、
無理やりズボンの中に入れだしたのだ。
ダサい。
かなりダサい。
シャツインなど、
とある国民的アニメの男達の様ではないか。
｢幸村は行動が変態だね。
何されるわからない。｣
｢残念ながら俺、
人間の女にしか、興味無いよ？｣
｢いやん、充分かわいい女の子でしょ？私？｣
｢……。｣
｢何か言えよ！！！！！｣
パチン、と
可愛らしくウインクしても、
｢可愛いよ｣だなんて言葉、
投げてもらえませんけど？
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