今日:19 hit、昨日:3 hit、合計:53,301 hit
小｜中｜大
1. ページ18
｢皐？！」
｢柳、さっきの電話、どういうことだよ！」
柳の襟元を思い切り引っ張り、
シワができるのではないかというぐらい、肩を揺さぶる。
｢落ち着け、｣と、柳は抑えようとするが、
皐はそれを簡単に避けて、柳を睨みつける。
｢…皐、ここは病院だ。
あの弦一郎が怒鳴り散らさずに静かにしている。
だから、お前も落ち着け。」
落ち着かせようとしても、
興奮状態の皐が、止まるわけがなかった。
.
『精市が、倒れた。』
件名なし、
送られたきたメールは、
ただ、その文字だけだったのだから。
.
このあと起こる事に、
私は黙っている事しか、出来なかった。
｢まさか、そんな…｣
そんな言葉も、出てこないほど。
｢彼は、恐らく記憶喪失でしょう。
記憶がいつ戻るのかも、
前と同じ様になるのかも、
私には分かりません。｣
打たれたかのように、
頭が痛くて、息が詰まって。
無意識に、涙が頬をこぼれ落ちる。
ドクン、ドクン、と
煩い心臓は鳴り止まないまま、
足はあいつの所へと、
向かうのだった。
嘘だ、と、
いつものように、笑って返して欲しくて。
どうせ、会いに来てくれないから、
冗談を言って、みんなを巻き込んだ。
そう、言って欲しかったのに…
｢君、誰………？｣
現実はあまりにも残酷で
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 447人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
