13. ページ14
｢お、髪の毛切ったんやなあ？
俺的には、ロングの方が好きなんやけど？｣
｢顔つきが変わったな。
それに、変わらず元気そうだ。｣
｢はい、お陰様で元気です。
もう、久しぶりに会えて、苦しくて死にそうです。｣
｢おい、俺の質問に対しは無視か？｣
種子島の話なんて、
基本的に全無視で行くさ。
セクハラ質問など、
私は受け付けないからな。
用事があるとすると、
それは、ただ1人だけ……!!!
｢徳川さん、いつも素敵ですね！｣
｢ああ、そういえば、
幸村くん、今向こうにいるんだろう？｣
｢はい。
徳川さんといると、胸が苦しくて…｣
｢お前ら、会話する気ないやろ。｣
ずーっ、と音を立ててジュースを飲つ む種子島は、
徳川と皐の顔を交互に見ながら、
呆れた顔で、問い掛ける。
先程の会話、どちらかが聞いていない、と
言うよりも、お互い言いたいことしか言っていない
状況なのだ。
皐はきょとんと、した顔で
｢愛を叫んでるの。｣と言い出したため、
種子島が、ジュースを零し、盛大にむせ始める。
｢お前、なあ、｣
｢俺は幸村くんの話をしていたが、
何が違う点でもあったか？｣
｢そういうもんだいちゃう……
てか、皐、お前、なんで幸村くんについて行かなかったんや？｣
謎といえば、謎。
彼女が今まで幸村について行った事は無かった。
理由は簡単、｢大学の単位｣のため。
だが、大学を卒業した今、
彼女が彼について行かない理由など、
無いのではないだろうか？と、
種子島は思ったのだ。
(お前ら、なんや距離感不思議やしなあ…)
いつからか惹かれ合い、相思相愛。
相手を好きだと思う気持ちは、誰にも負けてはいない。
そんな皐だからこそ、
今回こそは、ついて行く、と思っていたのに、だ。
｢私はあいつが頑張ってるから、
自分も頑張ろう、で思う。
見てない間に、どれだけ私が上か、
思い知らせてやりたいだけ。｣
｢は？｣
思わず、間抜けな声が出る。
そんなの、ただの＿＿＿
｢意地張ってるだけって思うかもしれないけど、
私はあいつに下に見られてるままが嫌なの！｣
｢そんな単純な理由で…｣
｢帰ってくると、
あいつ、いっつも見下してくるんだからな。｣
裏を返せば、
ただの惚気話。
『久しぶりに会えた時の、
幸福感ていいよね。』
『は？』
『俺、皐が一緒に来てくれなくて
良いと思ってるから…』
その方が、愛しくてたまらないんだよね。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 447人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
