Thirst for love

ツインソウルなウサギ JK ページ7

Jungkook side




最初から他の女とは雰囲気が違っていた。


可愛い顔をして綺麗に割れた腹筋も
ほとんどの女の子達のように
男目当てでサークルに入ったわけじゃないところも。


そんな彼女はいつもマイノリティの俺のことを助けてくれた。


大学時代、周りの人間は皆
俺とAが付き合っていると勘違いしていた。

俺のためにAが一切それを訂正しなかったからだ。


俺が女性恐怖症だということを知っていたAは
自分がダミーになるならと考えていたんだろう。


実際、もの凄く助かった。


しょっちゅう駆り出される合コンも
大学の食堂で声をかけてくる女の子達にも
正直うんざりしていたから。


けれど俺と付き合っていると勘違いされることで
自分の恋愛が出来ないAのことが心配で

好きな人が出来たら俺のことなんか気遣わず誤解を解いていいからと何度も言った。


けれど大学時代のAが男と付き合うことはなかった。


それだけじゃない。


Aの言う通り
俺は昔から男を見る目がなかった。


普通に暮らしていると
同じ趣向の人間には滅多に出逢うことがないマイノリティ。


近年、世の中に認知されてきたLGBTとは言え
それでもやはり世の中のほとんどの人間が
異性愛者にあることには変わりはなく


普通に生活する中で誰かに恋をしても
報われることはまずない。


そうなると、必然的に
同じ趣向の人が集う場所に行くことになる。


LGBTが世間に認知されているとは言っても
実際はまだまだアンダーグラウンドの世界であることに変わりはないから。


そこで知り合う人間の中には
ヤバイ奴も少なからずいて。


変な男に引っ掛かり
死にそうな目にあった過去もある。


その時の自分を
助けてくれたのもAだった。


警察を呼び到着するまでの間
俺を助けにきたAまでもが暴行を受け
その傷が未だにAの額に残っている。



「こんなの大したことないから。
前髪下ろせば隠れるし」



病院のベッドの上でそう言って笑ったA。


その細い身体を抱きしめて
声を上げて泣いた。


悲しくて申し訳なくて。
何よりも自分が許せなくて。


女の子に怖くて痛い思いをさせ
顔に永遠に消えない傷を作った。


一生かけても償いきれない罪だと思った。


だからこの時、誓ったんだ。


この命はAの為に使う。
Aの為に出来ることは何でもする。


死ぬことだって。


自分はAによって
生かされているのだから────。

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