Thirst for love

大切なヌナ JK ページ6

Jungkook side





「声もイケボだし、本当完璧なイケメンなんだよ。
俺より年上なんだけど
『玉葱見捨てないであげてね？』だよ！めちゃくちゃ優しい人でさ」

「はいはいはい。
そんなことよりもグク、
前の人の件、どうなったの？」

「.....」

「まさか泣き寝入り？」

「まぁ...仕方ないよ。
人生の勉強料ってことにして」

「仕方なくないよ！
立派な犯罪なんだから警察に言うべきだよ。
２０００万稼ぐのにどのくらいの時間と労力が必要か分かってる？」

「ヌナ、声がデカい。落ち着いて」

「落ち着いてられないよ！
昔からグクって男見る目全然ないんだもん！

あ、すいません、お代わりで」



可愛い顔立ちをしてるくせに
男よりも男らしく、空のジョッキを持ち上げて
通りがかった店員に注文するA。



「飲むペース早くない？
ヌナこそ仕事で何か嫌なことでもあった？」



話を逸らそうと違う話題を振れば
表情をみるみる曇らせていく。



ビンゴか。



「あるクライアントにしつこく飲みに誘われて、はっきり断ったら逆ギレされちゃったの。

これで仕事を他に回されたら
完全に私のせいだって上司にも怒られるし。

女っていうだけで会社の不利益になるなら
何の為に働いてるんだろう。
事務職してろってことなのかな」



大きな溜め息をついて
テーブルに置かれたジョッキを煽るA。



「社会に出ると、女っていう性は足枷にしかならないね」

「ヌナが仕事の出来る人間だって、俺はちゃんと分かってるよ。
だからセクハラになんかに負けないでよ」



不貞腐れているAの頭を
よしよしと撫でる。


そんな慰め方しか出来ない自分がくやしかった。


５年以上になるAとの付き合い。


写真学科とデザイン学科という
専攻も学年も違う俺達が知り合えたのは
大学のサークルのおかげだ。


ボクシングサークルの先輩だったAは
細身の身体ながら引き締まった身体をしていて


女性ながらストイックにボクシングに取り組んでいることはすぐに分かった。


そんな鍛えられた腹筋とは裏腹に
童顔で可愛いらしい顔立ちから
「筋肉ウサギ」という可愛いあだ名まで付いていて。

後にそのあだ名は自分に対しても使われるようになるのだけど。


筋肉ウサギコンビ。


最初から共鳴するみたいに
惹かれ合うものがあった。

互いのことを知っていく内に
同じような弱さと痛みを持っていることも分かって

女が苦手な自分が唯一好ましく思える女性だった。

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