君ナシデ愛ヲ知レナイ 2

3 ページ5

.



ジミニヒョンが連絡を取ってくれた数日後

ジミニヒョンの店で
初めてAヌナの弟
キムテヒョンと会った。



うわ────



彼が待ち合わせの時間丁度に現れた瞬間
周りの雰囲気が一気に変わる。


誰もが見惚れ、釘付けになる美貌。


綺麗な銀髪にグレーのコンタクトレンズを着けた顔は
CGかと思うくらい美しく端正で

ブラックとゴールドの柄シャツにスラックス姿が似合いすぎるスタイルの良さと迫力。


想像以上のイケメンだった。


そして何より彼の纏う
退廃的で妖艶な雰囲気。


多くの女性が彼に夢中になっているというのも
分かる気がした。


美しさも存在感も
そこら辺の男達とは全く違う。


キムテヒョンがCMに出たら
確実に話題になる。


それは確信だった。


絶対、当たる。



『テヒョン氏、是非引き受けてくれませんか？』



仕事の内容と報酬などのことを一通り説明して
頭を下げれば

大して興味もなさそうな顔で
話を聞いていたテヒョンが



『相手役は？誰？』



ぼそっと呟く。



『Aヌナです』

『A？』

『はい、女性の方は顔が映らないので
予算の関係でAヌナにお願いしました』

『A....姉さんはそれを知ってるの？』

『はい』



俺の返事に
驚いたように目を見開くテヒョン。



『受けてくれますか？』

『受けなきゃ
Aの相手はその男、ジョングギになるらしいよ。

それは阻止してくんない？テヒョンア』



ジミニヒョンの言葉に
眉根を吊り上げるテヒョン。



『君って姉さんの何なの？』

『同じ会社で同じチームで仕事をしている
先輩と後輩です』

『それだけ？』



それだけ？と言われ
言葉に詰まる。


けれどじっと俺を探るようなテヒョン氏の目に
嘘は言わない方がいい気がして



『俺はAヌナのことが好きです』



正直に答えた。



『俺は？』

『ヌナは俺の気持ちには応えては─────』

『やめろ、テヒョンア！』



最後まで言い終えることが出来なかった。


ジミニヒョンの制止を聞かず
俺の胸ぐらを掴んだテヒョンが



『お前が今、姉さんを弄んでる奴かよ！』



拳を振り上げたから。



『付き合ってもいないのに？
身体だけ弄んでるわけ？』



けれど、テヒョンの言葉に
何も言い返せなかった。


傍から見たらそれが事実だ。


殴られても仕方がない。
そう思って目を瞑れば



『店の中では止めろ』



怒りを孕んだジミニヒョンの言葉で
テヒョンから解放された。

4→←2

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す