君ナシデ愛ヲ知レナイ 2

Jungkook ページ34

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頭が割れるように痛いし
胃がムカムカして気持ち悪いし
身体が岩のように重くて動かない。



てか、ここ、どこ？
そして今、何時？


働かない頭で
記憶を必死に手繰り寄せれば



確か、ジミニヒョンの店で飲んでた気が。



少しずつ思い出す記憶。



あー俺、Aヌナに振られたんだった....



それで浴びる程飲んで
酔い潰れて。



『起きたか...酔っ払い』



その時、額に乗せられた冷たいタオル。



『気持ちいい....てか、俺どうやってここに帰ってきたんですか？』

『酔い潰れた店のバーテンダーと客の男が
お前を引き摺るように運んできたんだけど』



呆れたように溜め息をつくユンギヒョンに



『そうだったんですね。すみません、ヒョン。
迷惑かけて』



消えそうな声で謝れば



『だから言ったろ？あの女は最低だって』

『ヒョンの言う通りでした』

『なら、もうあの女のことは諦めろ。
そして会社では公私混同すんな』

『はい。分かってます』

『それさえ出来てりゃ、プライベートがグダグダでもいいから。
しばらくなら慰めてやるよ』

『俺、生まれ変わったらヒョンの恋人になりたいです』

『....はいはい』



なんだかんだとユンヒョンは優しい。
心地良い距離感で見守ってくれて
本当に苦しい時は
誠実な言葉をちゃんとくれる。


だからヒョンにはいつも甘えてしまうし
弱音を吐いてしまう。


今だって、気づけば
思わず本音を吐露してしまっていて。



『ねぇ、ヒョン、
幼少期から過酷な状況の中で
助け合い、支え合ってきた姉弟の愛に

知り合ったばかりの俺が
太刀打ちできるはずないですよね』



醜い顔を見られたくなくて
手で顔を覆ったまま呟けば



『俺は....愛は、上書きできると思うけどね』

『.....上書き？』


ユンギヒョンの口調には
俺の告白に驚愕も、侮蔑も、疑いの色も一切なくて

ただ優しく俺の頭を撫でながら



『相手の想いを無理に消そうとするより
その想いや過去ごと愛してやれたら
相手の愛を上書きできる。
太刀打ちできないことはないと思うけど？』



俺が今一番欲しい言葉をくれる。



『....応援してくれてるんですか？』

『まさか。あの女のことは諦めろって言ったの忘れた？』

『狡いですよ、ヒョン』



そんなこと言われたら
諦められなくなってしまう。


俺は単純だから
また前を向いて走りたくなる。



『まぁ、どっちにしても茨の道だな』




優しいユンギヒョンの声に
泣きたくなった。

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