君ナシデ愛ヲ知レナイ 2

4 ページ29

.




『金のことで脅されたなら
俺に頼ってくれれば良かったのに』



そう言って唇を噛みしめるジニヒョンの瞳には
憤りと後悔で涙が浮かんでいた。



『だけどその後、Aとテヒョンイがすぐに
あの家を出てるってことは
既にテヒョンにはあの家から逃げ出すだけの金はあったってことだろ？』



腑に落ちない顔をするジニヒョンに
ジミニヒョンが考え込むように口を開く。



『本来は二人とも大学に行くつもりだったんじゃ？
だからAはテヒョンイの将来の為に
そいつの言いなりになったんじゃないんですか？

Aはテヒョンイのことになると
昔から冷静さを欠くところがあったし』

『....確かに』



納得したようにジニヒョンが頷き
再びカウンターに戻っていくジミニヒョン。



『で、偶然ジホにあったテヒョンイが
昔を思い出してジホに暴行して捕まったってわけか....』



正面に向き直ったジニヒョンが
俺に話の続きを促す。



『はい。二人には全て解決してから
きちんと話そうと思っていたので
すぐ連絡せずすみません』

『いや、Aの傍で
色々と力になってくれてありがとう。
Aの傍にジョングギがいてくれて
本当に良かった』



何度もお礼を言われ
複雑な気持ちになる。


ジニヒョンもジミニヒョンも
本当は自分がAの傍にいたかったはずなのに。


いつだって自分の想いより
Aの幸せを一番に考えている二人。


だからこそ、俺のことを認めてくれたと
分かっているのに。


それなのに。



『すみません。俺....もうAヌナの傍にいることができなくて』

『なんで？』

『それは....』



涙ぐましい姉弟愛。


ジニヒョンもジミニヒョンも
Aとテヒョンイの関係を
そう捉えて疑っていない。


そんな中でそれ以上
言ってはいけない気がして。


ジニヒョンもジミニヒョンも
Aを愛し続けて
大切に、大事に想い続けているのが分かるから。



『Aヌナに要らないって言われたんです。
理由は....よく分かりません』



そう答えるしかなくて。



『Aはずっと過去に縛られたまま
生きてるんだな』



ジニヒョンが深い溜め息をつく。



『正面、Aがずっと心を凍てつかせて生きている理由が
過去に関係してるって分かった今
俺は....やっぱりAを放っておけないよ』

『え？』

『Aを救い出せるまで
結婚しない』

『ジニヒョン....』



ジニヒョンの揺るぎない想いは
無償の愛だ。


なのに俺は─────

Jimin→←3

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す