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Jungkook ページ26

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『何やってんだろ、俺』



家を飛び出し
勢いに任せてジホの入院する病院の前まで来たものの




『情けなさすぎだろ... 』




病人を放置して家を飛び出し
こそこそ陰でAとテヒョンのことを
嗅ぎ回ろうとした自分の卑しさに
心底辟易する。


仮に自分の勘正しかったとして
ならば、俺は一体どうするんだろう。


Aを諦めるのか。
二人を責めるのか。
二人を憎むのか。


正直、自分でも分からなかった。


だけど分かるのは
今、この瞬間でさえ
Aを好きだということだけ。


辛くても、苦しくても
Aが好きでたまらないってことだけ。



病院に背を向け、来た道を引き返す。


お見舞いの食材を手に
テヒョンのアパートに辿り着けば

俺が戻ってくると思ってなのか
ドアには鍵がかかっていなかった。



「ヌナ、勝手に出ていってごめん」



謝りながら、部屋の中に足を踏み入れた俺は

目の前に広がる光景に絶望しながらも
本当は心のどこかで、こうなることを予想していた。


ずっと消えなかった不安が
真実を目の前にすれば
皮肉にも消えていく。


ユンギヒョンの言う通りだった。
ジミニヒョンの言う通りだった。



俺は利用されてただけ。
真実から目を背ける為の玩具にされただけ。

Aの唇はずっとテヒョンのもので。



なのに。

まだ一縷の望みを捨てきれずにいる自分。



ねぇ、A、

なら、俺に口付けてくれた
あの時のAは何?

どんな気持ちで俺にキスを?


俺はどうしたらいい?

Aの元から去るべきなの?

それともまだ俺少しでもが必要?



「テヒョン、どいてっ」



涙を流しながら身を捩るAの両腕を
床に縫い留めたまま

Aの上からゆっくりと身を起こして
俺を見つめるテヒョン。


今までの精彩を欠いた
何も映していないような瞳ではなく
俺を真っ直ぐに射抜く強い眼差し。



「俺はAを絶対に渡さないから」



眩しいくらいに強い意志。


きっとテヒョンは世界を敵に回しても
誰一人味方がいなくても
Aを愛することに迷いはないのだろう。



でもAは?

Aもテヒョンと同じ気持ち?



「ヌナ、ヌナはどうしたい?」



テヒョンに組み敷かれて
唇を奪われていたAに
俺はまだ何を期待しているんだろう。



「俺のこと必要じゃない?」



疑う余地もないほど
最低で最悪な女なのに
一体何を期待しているんだろう。

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jkvjirmhs(プロフ) - そうなのですね!ゆっくりで大丈夫です🥰楽しみにしています! (2022年4月4日 18時) (レス) id: 201e14c658 (このIDを非表示/違反報告)
雨音(プロフ) - jkvjirmhsさん» 嬉しいコメントありがとうございます。そんな風に言って頂けて感謝です。最近時間が取れずに更新出来ずに本当に申し訳ありません。時はかかると思いますが必ず終わらせる予定ではありますので気長に待って頂けたら嬉しいです(涙) (2022年4月4日 12時) (レス) id: b76ef0bfee (このIDを非表示/違反報告)
jkvjirmhs(プロフ) - はじめまして!とても面白くてつい一気に最後まで読み進めてしまいました、こちらの更新は予定されておりますか、? (2022年3月31日 16時) (レス) @page40 id: 201e14c658 (このIDを非表示/違反報告)
雨音(プロフ) - kimkana618さん» 温かいお言葉有難うございます!そう言っていただけてほっとしています。なかなか更新できず申し訳ありません。最後まで楽しんで下さったらとても嬉しいです((^^)) (2021年9月17日 17時) (レス) id: d11e495b89 (このIDを非表示/違反報告)
kimkana618(プロフ) - はじめまして。とても面白くて、いっきに読んでしまいました^ ^続きを楽しみにしてします! (2021年9月9日 13時) (レス) id: 6421b72e6e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:amane | 作成日時:2021年6月14日 13時

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