君ナシデ愛ヲ知レナイ 2

3 ページ24

.



ねぇ、A。
俺の剥き出しの心をAは受け入れてくれる？


Aに気持ち悪いと思われることに怯え
嫌われることを恐れて
自分の気持ちを隠していたあの頃

この想いが狂気以外の何物でもないと思っていた俺は
少しでもAに悟られたら、Aを失ってしまうと思っていた。


それは俺にとって死ぬよりも耐えられないことだったから

だから必死で想いを押し殺した。


もし、あの頃Aに自分の気持ちを伝えていたら
ジホからAのことを守れていたんだろうか。


そう考えると、自分への憤りで狂いそうになる。


けれど、Aにあからさまに距離を取られ
避けられていた当時の自分には
想いを告げる勇気はとてもなかったし

自分の気持ちを押し殺して
弟を演じることでしか
Aの傍にいられないと思っていたから

結局はどうすることもできなかっただろう。


自分にそう言い聞かせても
Aが俺のことでジホに脅され

ジミンを頼るしかなかった一番の原因が
自分にあることが分かってしまった今

Aは俺を許してくれるのだろうかと
新たな不安が生まれる。



「Aを守れなくてごめん。
Aにだけ辛い想いをさせてごめん。

Aを好きだってずっと伝えられなくてごめん」



一生かけて償うから、どうかお願い、
俺を許して。
俺を受け入れて。



「嬉しかったのに。
俺にキスしてくれたって知って
めちゃくちゃ嬉しかったのに。

なのにAを守れなくて、ごめん」

「テヒョンっ！！」



悲鳴のような声を上げて
Aの手が俺の口を塞いだ。



「やめ、て....お願い、
それ以上、言わないで」



どうして？

なんでそんな辛そうな顔をするの？

俺達、同じ気持ちじゃないの────？



「わ、私は....あの頃の気持ちは....違うの、間違いだったの、勘違い、だったの！

テヒョンのこと、とっくに弟にしか思ってない、からっ」



ねぇ、そんな震える声で何を言ってんの？

目を泳がせてそんなことを言われても
信じない。



俺はAの手を掴み
ゆっくりと引き剥がして



「弟なら、あんなに露骨に避けたりする？
他の男とキスしないまま付き合ったりする？

いつだって俺を意識してるでしょ？
全然説得力ないんだけど」



床にAを押し倒した。

4→←2

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す