君ナシデ愛ヲ知レナイ 2

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偶然にジホに再会したテヒョンが
怒りを抑えられなかったのは理解できる。


相手はヌナのことを傷つけた男なのだから。


俺だってそいつに会ったら
殴っていたと思う。


だから今回テヒョンが
俺に謝罪し、協力を仰いだのは
全てヌナの為なのも分かっている。


それでも同じ想いを持つ者として
少しは認めて貰えた気がして嬉しかった。



「ヌナ、テヒョンイは大丈夫だよ。
あとは弁護士に任せよう」

「うん....」



相手の怪我は重傷とは言っても骨折程度だし
示談すれば不起訴になる可能性が高いことを考えれば



「すぐに出てこれるよ」



そう悲観することはないと思った。



「弁護士の知り合いがいるから
頼んでみる」

「韓国人の？」

「うん、トリリンガルで優秀だから
問題ないよ」



俺の言葉に、ヌナがほっとしたような笑顔を見せる。



「ありがとう、グク。
頼ってごめんね」

「ごめんねは要らないよ」



ヌナのおでこを指で弾くと



「敬語やめたんだね」



目を瞑って笑うヌナ。



「え、あ、ご、ごめん。嫌だった？」

「ううん、いつか敬語は使わないでって言おうと思ってた。
親しい人からの敬語は好きじゃないから」



姉弟から同じようなことを言われて
舞い上がる。


だから。


だからもしかしたらって


期待した。


テヒョンもヌナも
俺を受け入れてくれるんじゃないかと。



何も知らずに。

俺だけが未来に訪れる絶望を知らずに。



「ヌナ、今日は弁護士ところへ相談に行ったら
朝まで一緒にいたい」



以前より少し痩せてしまったヌナを抱きしめて耳元で囁けば
初めて訪れることを許されたヌナの部屋。



「ヌナ、こっち見て？」



こんなの期待しない方が無理だ。


なのに。


玄関先でヌナを抱きしめて
その目を見た時

それがただの勘違いだったことに気づく。


ヌナの目には困惑と焦りが浮かんでいたから。



「まだ....駄目？」

「グクっ、あの、もう少し待ってっ」



ユンギヒョンに言われたことが頭を過る。


焦ったら駄目だと
いつまでも待つと

腹を括っていたはずなのに


本当はとても不安で仕方がなくて。



「もう少しだけ」

「もう少し待てば何かが変わるの？」



勢いに任せて言葉を発したら
駄目だと分かっているのに。



「何で結婚前提で付き合ってるって
嘘を言ったの？」



止めることができなかった。



「他に好きな男がいるのに
なんでそんなこと言ったの？」



ヌナの手から荷物が滑り落ちた。

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