君ナシデ愛ヲ知レナイ 2

Seokjin ページ12

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好きじゃない女を抱くことが
こんなに苦痛な行為だとは思わなかった。


身体に快感を得ても
心は冷えきったままで

上り詰めた先にあるのは
いつも虚しさだけだった。


だから俺はほとんど彼女を後ろから侵していた。


顔を見ず、目を瞑れば
Aを思い浮かべることができるから。


最低なのは分かっている。


それでもあの日、あの時


Aを抱かなかったことを
後悔している自分がいる。


あの時、Aを抱いていたら
その思い出を胸に抱いて
その思い出だけを生きる糧に

その先にある永遠の孤独に
耐えられるのにと

後悔は消えることなく
むしろ日に日に心を蝕み続けていく。



『ほんと最低だ』



例えAの愛が得られなくても
この命はAに生かされた命だから
彼女の為に生きると誓ったのに


ジョングクと一緒にいるAを見ていることしかできない現実が
こんなにも苦しくて辛いものだとは思わなかった。


他人を利用しても
決して癒えることはない飢えと渇き。


こんな醜い自分のことを知ったら
Aは幻滅するだろうか。



「私も他の人を利用すると思う」



きっぱりと言い放ったAの顔が
今でも忘れられない。


あの時のAは
俺のことを利用したかったんだろう。

でも何故。


そして今でも誰かを利用してるのだろうか。



まさかジョングクを？



『まさか....な』



あの二人は結婚を前提に付き合っていると
ジミンから聞いたばかりだ。


世の中、大抵の物は金で手に入る。
人の気持ちですら金で買えることを知っている。


それなのにAの気持ちだけは
どうやっても手に入れることができなかった。



『来月の婚約パーティーなんだけど』



シャワーから戻ってきたユリが
ベッドに座っていた俺の背中に抱きつく。



『婚約指輪付けて出席したいの』

『ああ、じゃあ好きなのを選んで注文してきてよ』

『一緒に行ってくれないの？』

『俺に過度な期待はしないでって
言ったはずだよ？』

『....分かってるけど』



冷たくする理由も
優しくする理由もないから
無駄な労力は使いたくなかった。


出来るだけ嫌いにならずに
平穏な関係である為に。


この先ずっと一緒にいなければいけないのだから。



『すっごい高いの選ぶかも』

『お好きにどうぞ』



Aは今、誰と何をして
誰を想っているんだろう。

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