君ナシデ愛ヲ知レナイ 2

Taehyung ページ1

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ジホの件があった後
傷ついたAが頼ったのがジミンだと知った時


正直、絶望もしたけれど
納得もできた。


俺にはAの心も身体も
救うことも癒すこともできないから。


だからジミンなら。
ジミンならって
自分自身を無理やり納得させた。



なのに愛されてなかった、
だって？

Aを捨てた訳じゃない、
だって？



意味が分からなかった。



『なんで、そう思ったんだよ』

『.....一度もキス、させて貰えなかったから』



え？



『びっくりだろ？
キスできない恋人同士なんて
有り得ねーよな』



自嘲気味に笑うジミンが
嘘をついているようには見えなかった。



『姉さんが、言ったの？』

『ああ、それが付き合う条件だったから』



初めて聞く事実に
思考がフリーズする。



どういうことだ？

それってどういう....



『俺、それに耐えらんなくてさ。
あいつが何を考えてんのか
正直、今もわかんねーんだわ』

『今、姉さんが付き合ってる男って
ジミンじゃないの？』

『なに、お前もAに男の影があること
気づいてたの？

残念ながら俺じゃないよ。
同じ会社の奴みたいだけど、それも付き合ってんのか....よく分かんねーよ』



同じ会社の男？



ジミンやジニヒョン以外で
Aが心を許す相手がいるなんて
信じられなかった。



『どんな男？』

『んー、きゅるきゅるの目して、一見ワンコ系に見えるけど、きっと中身は全然違うな。
挑むような目してたし。

てか気になるなら、ここに時々来いよ。
きっといつか会えるよ』

『この店にも来てんの？』

『ああ、Aが連れてきてから
独りでも来るんだよ、そいつ』



ショックで頭が真っ白になる。



なんだよ、それ────



そんな簡単にAの心に入り込めたのか？



なんで。

どうやって。


どうして───！



『んな、ショックな顔すんなって。
お前、本当にシスコンだな。
Aは美人だし、いい女だから
気持ちは分かるけどさ』

『悪い、ジミナ、俺帰るわ』

『おい、この酔い潰れた女、どーすんだよ』

『適当に捨てといて』

『はぁ？ふざけんな』



抗議の声を上げるジミンを無視して
俺は急いで家へと向かう。


ジホから逃れる為に借りた家に。
Aと二人で住む為に借りた家に。


心が痛みで潰れそうだった。


苦しくて発狂しそうだった。


どうしてどうしてどうして


俺とAは姉弟なんだ─────。

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