House of cards 2 (ページ50)

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思惑 TH ページ50

Taehyung side

「それでそのまま帰したの？」

「だってヌナが本気でオレに怒ってたから
それ以上強引には出来なくて.....それにヌナに触れることもできなかったから.... 」

咎めるようなジョングクの物言いに
ムッとしたものの
自分もAを一人で帰してしまったことに
不安がないわけじゃないから弱気になる。

「それにしたってさ」

「ヌナには子どもがいるし
もうすぐ学校から帰ってくるって言われたら引き留めらんないよ....」

オレの言葉に
電話の向こうで黙り込むジョングク。

「仕事中ごめん。
じゃあ切るわ」

ジョングクのことを呼んでいる
職場の人間の声が聞こえてきて
通話を切ろうとすれば

「テヒョンア、今日オフ？」

ジョングクからの提案はとんでもないものだった。

1時間後、待ち合わせの場所へ辿り着けば
既にジョングクは到着していて

「仕事、忙しいんじゃないの？」

「戻ったら徹夜するから平気」

何でもないことのように言うジョングクに
やっぱりこいつには敵わないと
心のどこかで思い、胸がチクッと痛んだ。

「で、どうやってマンション入るの？」

オートロックのエントランスの前で
しばらく二人で立ち尽くしていると
目の前を通り過ぎていく30代ぐらいの女に声をかけるジョングク。

「すみません。お姉さん」

「はい？」

「友達が咲夜酔っ払って帰ったまま
会社に出社してこなくて心配なんです。
部屋番は分かってるので、エントランス一緒に通らせてもらってもいいですか？」

「ええ、どうぞ」

拍子抜けするくらい
あっさりとエントランスを通してくれたお姉さんに

「あの人危機感なさすぎ」

親切に中に入れて貰ったくせに
呆れた顔で肩を竦めるジョングク。

「ジョングギに困った顔で近くで縋られたら
女なら誰だってドア開けるでしょ」

「そう？」

一見童顔で優しい顔をしているジョングクに対して
女がすぐに警戒心を解いてしまうのも分かるから
一応親切なお姉さんのことを庇ってエレベーターへと向かう。

「まさか家の中に乗り込むつもり？」

「テヒョンア、オレが合図したら
携帯で録画して」

「え？」

「大丈夫だから」

一抹の不安を抱えながらも
ジョングクに言われた通り
ポケットの中で携帯電話を握りしめた。