House of cards 2 (ページ39)

今日:4 hit、昨日:0 hit、合計:39,314 hit

運命の人 TH ページ39

Taehyung side

「テヒョンア、今恋人は？」

唐突に話題を変えるジョングクに

「え、いるけど....」

そっけなく答えれば

「けど、程度なのね」

「いや、そういうわけじゃ....」

「じゃあ....どういうわけ？」

目を細めて噴き出すジョングク。

「けど程度な恋人ってことは
テヒョンイの心は満たされないね」

「自分こそどうなんだよ？」

ムッとして言い返せば

「まぁ、俺も似たようなもんかな」

「何だよそれ。
他人のこと言えないじゃん」

オレの不満げな様子に気づいたジョングクが
ごめん、と呟く。

「ジョングガ、もしかしてイラついてる？」

「んー、ヌナが意外にもオレたちの近くにいるって知って
動揺してるのかも」

「平気そうなふりしてたくせに」

「ごめん」

そう言って辛そうに微笑むジョングクに

ジョングクもまだ
ヌナを愛してるんだと分かってしまった。

オレと同じ気持ちを抱えているんだと。

「ジョングクと会うと
独りじゃない気がしてほっとする」

思わず、本音が零れた。

「テヒョンア、酔ってるの？」

「酔ってないよ。
ずっとこの先もオレたち
2人ぼっちかもって思っただけ」

「それは勘弁して」

オレの言葉に
眉を顰めたジョングクだったけれど

食事が終わって、別れ際

「まぁ、何があっても
一生側にいるから安心して」

優しく笑って、オレの肩を抱きしめてくれるから
何だか泣きたくなった。

「何かあったらまた連絡してよ」

「うん、ジョングギもね」

別れる瞬間
寂しくなるのはジョングクとの時だけだ。

孤独で辛かった時期を
共に過ごしてきたせいかもしれない。

多忙な両親の元に育ったジョングクと
早くに両親が亡くなったオレは
家族よりも家族のように
兄弟というより半身のように
一緒に生きてきた。

Aとの出逢いと別れを経験した後
オレ達は、まだ出逢えずにいる。

運命の人に。

それともやっぱりAだけなんだろうか。
オレにとってもジョングクにとっても。

今の彼女に失礼なことを思っているのは分かっている。

けれどAを見かけたあの瞬間から
心はAのことでいっぱいになって
今の彼女のことがどうでもよくなっている自分がいて。

「酷い奴だな、オレ」

だけど自分の気持ちに嘘がつけない以上
別れを選択する他ないと思った。