House of cards 2 (ページ37)

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運命の再会 TH ページ37

Taehyung side

それは本当に偶然だった。

７年ぶりに見かけた彼女のことを
Aだと気づいた。

７年前と変わることのない
美しさと凛とした姿に。

すぐにでも駆け寄って抱きしめたい衝動を必死に抑えて
遠目から彼女を見つめる。

小さな女の子を見つめている
その幸せそうな表情に

やば、泣きそう。

思わず涙が零れそうになる。

「テヒョンさん、撮影入りまーす」

その時、スタッフに名前を呼ばれ
一瞬彼女がこっちを見たような気がした。

オレに気づいたかな？

「テヒョンさん？」

「はーい、今行きます」

彼女のような親子がちらほら遊んでいる午前中の公園の一角で行われている今日の撮影は
女性ファンション雑誌の仕事で

彼女と公園デートがコンセプトなので
女性モデルとカップルのように一緒に歩いたり
ベンチに寄り添って座ったりしながらの撮影だった。

ここら辺に住んでるのかな。

撮影中も頭の中はAのことでいっぱいで

「じゃあ次は腕を組んで歩いて下さい」

集中出来ないまま
それでも撮影は順調に進んでいった。

Aと別れてすぐ
オレとジョングクは高校３年になった。

「俺、大学へ行こうと思う」

突然ジョングクに言われた時
正直かなり動揺した。

自分だけ置いて行かれるような気がしたから。

夢もやりたいことも何もない自分だけが
取り残されていくような気がして。

そう言って落ち込むオレに
ジョングクは

「じゃあ一緒の大学へ行こうよ」

「え？」

「大学へ行ったらしたいことが見つかるかもしれないし
まだこのアルバイトも続けていけるし」

高校生のオレ達は万事屋のアルバイトに没頭していたから
確かにまだこのバイトを続けたい気持ちはあった。

「やりたいことがないなら尚更大学へ行こう」

ジョングクに説得され
引き摺られるように寝る間も惜しんで一緒に勉強を始めた。

そして無事、ジョングクと同じ大学に合格して
しばらく経った時

芸能事務所にスカウトされて
ジョングクの説得もあって
万事屋のバイトを辞め
雑誌モデルの仕事を始めた。

大学を卒業してからは
雑誌だけでなく、ショーモデルの仕事も舞い込むようになった。

けれど、アングラな世界から
陽の当たる世界で生きるようになっても
Aのことを忘れたことはなかった。

Aと過ごしたあの時期があるから
今、自分は生きていられるのだと
知っているから────。