約束 JM ページ27
Jimin side
才色兼備な彼女。
Aの家の状態が酷くなかったら
きっと高学歴でキャリアな仕事も出来るくらいの女性になっただろう。
そう思うとやりきれない気持ちになる。
子どもは親を選べない。
生まれ落ちた時から決まっている環境。
あっという間に売上げ上位にランクインしたAに対して
最近は、寂しいような苦しいような感情が
生まれていること気づく。
そして、色々な男に笑顔を振りまくAに対して
モヤモヤして、苛立って。
自分でも呆れてしまう。
出会って１ヶ月以上が経った。
Aの存在は
単なる協力者という関係を越えて
自分の中で無視できない程大きなものになっている。
ストレートに俺に好意を寄せる彼女を
愛おしく思っている自分がいる。
Aに想われる資格などないのに。
今日も隣に座って
酒を作ってくれているAは
最初に出会った時より随分垢抜けたように感じる。
元々綺麗な顔立ちだったけれど
夜に生きる女特有の
退廃的な色っぽさと艶やかさを纏うようになった。
まだそんなの身につけんなよと思う反面
その色香に魅せられている自分がいる。
「オークション、３日後の夜１９時からだと思います」
そっと俺に耳打ちするA。
「出席者も蒼蒼たるメンバーですが
今回は警察官僚や大臣クラスはいません。
財界と官僚がターゲットです」
なら、行けるか。
「で、お前は？」
「呼ばれました」
「は？お前が商品？
ばか、絶対出んな！」
思わず大声を出してしまい
慌てて口を押さえる俺に
Aがくすっと微笑む。
「出なきゃ怪しまれますし」
「警察のガサ入れの時
一緒に捕まって家に戻されてもいいのか？」
「それは困りますけど」
親の元に帰っても
Aがまた苦しむのは分かっている。
義理の父親にまた乱暴される可能性だってある。
「だけど今、私が不穏な動きをして
ガサ入れが失敗するのは嫌です。
だからジミンさんが来る時間を教えて下さい。
逃げる私を助けて下さい」
そう言って俺の手を握りしめるA。
その手が僅かに震えているのに気づいて
はっとする。
そうだ、平気なはずがない。
まだ、たった16歳の子どもなのに
俺の為に、危険な目にあう覚悟までして。
「勿論必ず助ける」
自分の命に代えても。
口には出さなかったけれど
心の中で誓って
Aの身体をそっと引き寄せて
抱きしめた。
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作者名：amane
| 作成日時：2020年11月23日 13時
