聡い女 JM ページ23
Jimin side
「ジミンさんが初めて私を指名した日
私が１９歳だって言ったら
ジミンさんが煙草の火を消してくれたんです」
突然話が飛んで
怪訝に思いつつも
「そうだったっけ」と返事を返せば
「それって私が歳を偽ってることに
気づいたからですよね」
「え？」
Aの言葉に目を見開く。
どうして、気づいた...？
「いや、吸わない子の目の前で
吸うのは悪いなって思っだけだよ？」
「....違いますよね？」
「.....」
いつも真っ直ぐに俺を見つめる
力強く、美しい光を湛えている瞳。
「.....」
こんな場所に流れ着いて
働き始めたぐらいだから
決して豊かで恵まれた家庭に生まれ育ったわけではないだろう。
それでも彼女の凛として
清廉な雰囲気は
生まれ持ったものなのか
眩しいくらい綺麗で。
その瞳で見つめられる度に
自分が薄汚れた大人だと自覚させられる。
「職業柄色んな人間見てきてるから。
勘だよ、ただの」
「で、１９に満たない私に煙を吸わせない配慮をしてくれたジミンさんはやっぱり良い人です」
「そんなことぐらいで
男に良い人とか言うな。
騙されて痛い目見るぞ」
本当に心配だった。
俺自身、偉そうに言える資格はないけれど
それでもこの子が悪い男に騙されるのは
絶対に嫌だと思った。
「ほら、ジミンさんは優しくて信頼できる人です、やっぱり。
だから、協力します。
と言っても入店したばかりで
大した情報を持っているわけじゃないですけど」
意志の強そうな瞳が
俺の心を鷲掴むように捉える。
この俺が
俺の方が
囚われてる─────？
逢ったばかりの若い女に？
いや、そんなはずはない。
色恋なんて
愛なんて
とっくの昔に捨てた。
金の為に。
出世の為に。
野心の為に。
復讐の為に────。
女なんてただの捌け口
のはずだった。
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作者名：amane
| 作成日時：2020年11月23日 13時
