時が経って JK ＆ TH ページ18
Jungkook side
Aを失って1年以上が過ぎた。
子どもだった自分は彼女を引き留めることも
救うことも、守ることもできなかった。
愛する資格さえなかった。
それが悲しくて、悔しくて
だから早く大人になりたいと思った。
この仕事をし続けていれば
早く大人になれる気がして
またAに逢えるような気がして
背伸びして
努力して
めちゃくちゃバイトの数をこなして。
残酷なまでに優しい時の流れは
今を過去に変え
過去を想い出に変えてしまおうとするけれど
Aとの想い出だけは
いつまでも心の中に
刻印のように鮮やかに刻まれていて
瞼を閉じれば
必ず最初に思い出すのはAの顔だった。
この先もずっと
心の中からAの存在が消えることはないのかもしれない。
誰かをまた愛することは出来ても
Aを愛さないことは
永遠にできないと思った。
甘く淡い初恋の想い出とは決して言えない
切なくて、苦しくて、痛みを伴う想い出だけれど。
空っぽだった自分に
命を吹き込んでくれたAのことを思い出す度に
その痛みだけが
生きていると実感させてくれるから
この先も自分はAなしじゃ生きられないのだろう。
たとえ逢うことが叶わなくても──────。
Taehyung side
高校を卒業し
大学生になっても
俺とジョングクは相変わらず
将来の夢も見つけられないまま
夜の街から抜け出せずに
万事屋のアルバイトをしながら生きていた。
いつまでもこのままでいいはずがない。
だけど他にどんな風に
生きていけばいいのかも分からない。
ただ自分の傍にジョングクがいてくれることが
救いだった。
夜の街で2人
未来が見えずに途方にくれても
もう拾ってくれる人はいない。
こんな風に寂しくて
どこか心が不安になる夜は
無性にAに逢いたくなる。
何年経っても。
元気で生きてるだろうか。
愛する子どもと一緒に
幸せに暮らしているだろうか。
Aがいつも笑って生きていてくれたらいいなと
願ってやまなかった。
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作者名：amane
| 作成日時：2020年11月23日 13時
