変わらないで。 1(Shori) ページ36
.
.
勝利「俺ね、髪 染めたの」
A「……あ、ほんとだ」
言われてみないと、ちょっとわからなかったかも。
少し茶色くなった、勝利の髪の毛。
近づいて、私はまじまじとそれを眺めた。
後ろにも回って、ぐるっと一周して見てみたけど……
うん、キレイに染まってる。
勝利って、黒髪のイメージが強かったけれど。
案外、茶髪も似合うじゃん。←
けど、勝利。
今まで一度も染めたことなかったのに。
.
*
*
帰り道、二人で並んで歩きながら。
私は、勝利の横顔を盗み見た。
髪を染めても、勝利の横顔は変わらずキレイで。
……って、当たり前だけど。
髪染めたからって、顔まで変わったらこわいし(笑)
凛々しい眉も、アーモンド型の大きな目も。それを縁取る長いまつげも。
中心がぷっくりとした形の良い赤い唇も。透き通った、その声も。
昨日と、何も変わらないのに。
なんでだろう。
.
私の視線に気づいたのか。
勝利は私を見て、お喋りをやめて。
急に立ち止まって、言った。
勝利「ねぇ、A。
俺らしさって、なに?」
A「え……?」
その声は、ゆらゆらと揺らめいて。
呟くような声、だったのに。
芯に強さを含んでいて。
私がその声の方を振り返ると。
勝利の瞳は、まっすぐに私だけを見つめていた。
その言葉で。
私の時間は止まった。
私は勝利を黙って見つめた。
勝利「俺から黒髪をとったらさ、何が残るんだろうなって思って」
少し苦しそうに、勝利は言った。
私が今、何かを言ったら。
たとえそれが何であろうと。
勝利は、バラバラと崩れ落ちてしまうんじゃないかって。
私は思った。
そして、私のなかに。
私の知らない、名前のない思いが込み上げてきて。
勝利のその表情を見たら。
私の中から、それが溢れてしまいそうで。
それが涙となって、今にも溢れてしまいそうになって。
だめだと思って、目をそらしたくなった。
けど、そらせなかった。
.
勝利「っていうのは冗談(笑)
ちょっと軽くしてみたかっただけ。
だから、そんな顔しないでよ」
そう言って。
勝利はいつもみたいに優しく笑うと、私の髪をくしゃって撫でた。
私の、黒髪を。
.
.
287人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ましろ(プロフ) - 碧さん» 遅くなってすみません(´;ω;`)! ですよね!黒髪は正義ですっ\(^o^)/笑 たしかに!やっと今のパーマに慣れてきました← (2016年8月26日 13時) (レス) id: e49fb29645 (このIDを非表示/違反報告)
碧(プロフ) - かむばっく黒髪! 笑 健人くんも黒髪の方が似合ってますよね〜。長さはもう少し短くてもいいけど 笑 (2016年8月21日 0時) (レス) id: 9bc32be432 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - 碧さん» RTしつつも、やっぱりそう思っちゃいます(´;ω;`)← いつか茶髪しょりたんに慣れる日がくるのでしょうか……(´;ω;`)けんてぃーの様に、かむばっく黒髪!笑 (2016年8月20日 23時) (レス) id: e49fb29645 (このIDを非表示/違反報告)
碧(プロフ) - わかります(´;ω;`) 彼は黒髪が一番似合ってますよね!笑 (2016年8月20日 23時) (レス) id: 9bc32be432 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - 碧さん» 私もです(´;ω;`)言い知れない虚無感が……(´;ω;`)勝利の黒髪の尊さ……うわああああ(´;ω;`)ってなってます、ここ数日(笑)← (2016年8月20日 23時) (レス) id: e49fb29645 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ましろ | 作成日時:2016年7月13日 17時