9羽 Side Bourbon ページ9
確かあれはここにあったはず、とこんな組織に似つかわしくない本の数に圧倒されながらも僕はお目当てである本を一生懸命探している。
なぜその本を探しているのかと言われるとちょっと話が長くなるので割愛。
ふと顔を上げ、棚から少しだけ顔を出し通路の正面にある日当たりがいいソファーに誰かが横になっていることを確認した。黒のロングヘアに緩くウェーブがかかっていて、艶が綺麗に出ている。
この組織で黒の髪、ロングと言えばキール、ライ、ロゼになるが寝ているのは女で男ではない。まずライが外れた。キールは別の任務でいないことを踏まえると必然的にロゼになる。
一度だけロゼについて調べたが、表で使っているであろう名前を日本の方で調査した結果、出てきたのは巧妙に偽造されたものばかりで何も掴めなかった。裏で使ってるという名前も同様で、彼女が一体何者なのかは掴めいていない。
ライとは接点があるようだが、その他にめぼしいものはなかった。
そして「貴女は一体何者なんですか?」と尋ねたところ、「なんでもないわ。ただのロゼ」と返され、どこから手に入れたかは知らないが僕の秘密を顔色一つ変えずポツリポツリと話された。正直その時ばかりは流石に冷や汗をかいた。銃を突きつけどこから聞いたのか問いただすが、凄い友達が教えてくれたの。わかったらそれ下ろしなさいよと凄まれ、僕の手首を思い切りひねり揚げ体制が崩れたところに力強い膝蹴りを御見舞され形勢逆転された。あの時のあの女の顔は今でもハッキリ覚えている。冷たい目をして僕を見下ろすロゼはいつもより増して恐ろしく見えた。
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作者名:真城瑠雨 | 作成日時:2018年7月1日 21時