8羽 ページ8
「うわあ、」
「なによ…」
「随分なご趣味の男だったんですねえ…同情しますよ」
「あーはいはい。じゃ着替えが終わるまで待っててよね」
「車で待ってますから」
黒のチェスターコートに赤いカシミアタッチのVニット、黒のスキニーパンツと同じく黒いレースアップブーツが入っていた。サイズは全てぴったりでまあ圧巻である。
そそくさ着替えてドレスはとりあえず鞄に詰めた。置いていくのは些か気が引けるので仕方ない。
小屋の出口にシュウが立って多分私を待っていた。借りてた上着を返すとくしゃみを一回し、何事も無かったかのように羽織る。寒いくせに痩せ我慢をしていたわけだ。カッコつけなとこは相変わらずのようで、少し懐かしく感じた。
「お待たせ、帰ろう」
「ああ」
「ねえ寒いの我慢してたの?」
「別に寒くなんかない、ただ」
「ただ、なに?」
「ライー!!ロゼー!!!遅いですよ!!!!」
「あーはいはい。その話はまた後で聞くとして、今は車まで競走ね?」
「…ガキかよ」
「案外そうかもしれないわね」
走り出した私の腕をシュウがぐっと引く。引っ張られた反動でシュウの上に尻もちをついた。何を考えてるんだこの男は、いきなり引っぱったら危ないだろう。痛む腕の付け根を優しくさすりながら文句を言うと、私に乗っかられた所を抑えて立ち上がりらしくもなく綻んだ顔を見せる。なんだか気恥ずかしくなった私はシュウを置いて車に乗った。
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作者名:真城瑠雨 | 作成日時:2018年7月1日 21時