7羽 ページ7
「何考えてるんだ?」
「なんでもない。ねえ、そろそろお腹空かない?」
「言われてみればもうそろそろそんな時間だな。缶詰食うか…使えそうな食器は」
「あるわ。拭けば問題ないんじゃない?」
「Aはそういうとこは妙に逞しいよな」
「そう?特に意識してはないけれど」
使っていないハンカチを鞄から出し、使っても平気そうな食器を磨く。缶詰なのであまり味に期待はしていなかったので項垂れることもなく、無言で中身をたいらげた。食料があるだけでもかなり違うのでわがままを言っているわけにはいかないのだ。
「無理、眠い…」
「無駄なエネルギーを消費するくらいなら寝てた方がいいだろ」
「そうね、じゃおやすみ」
「ああ」
赤く燃える暖炉の近くで丸くなり、シュウのジャケットをかけて横になる。意識が朦朧とした頃、後ろに暖かい温もりを感じながら目を閉じた。
その日は夢を見ることなくぐっすりと寝ることができた。
「ちょっと起きてくださいよ!!」
「うわあ、ここで一夜過ごしたのか?お疲れ様…」
騒がしい二人組、もといバーボンとスコッチが心底同情した顔でそこに立っていた。シュウは端でしれっとタバコをふかしている。
スコッチがロゼはこれ、と少し大きな鞄を差し出す。ベルモットが持たせてくれたようで、私は早速着替えることした。こんな趣味の悪い服はいつまでも着ていたくない。
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作者名:真城瑠雨 | 作成日時:2018年7月1日 21時