6羽 ページ6
「寝てた?」
「寝てた」
シュウの膝の上、見上げる彼の顔は下から見ても整っていることがわかる。なぜ膝枕なんだ!と問いただしたいが、流石に備え付けてあるベットで寝るのは嫌なので黙ってされるがままだ。
膝に頭を乗っけたままシュウに背を向けどれくらい寝ていたか尋ねる。大体三十分ぐらい、と答えた彼は優しく私の頭を撫でた。
「ちょっと、子供じゃないからやめて。それにむやみやたらとこうするのも感心しないわ」
「お前にしかしない」
「はあ?なにそれ明美に喧嘩売ってるの?」
「そうは言うが膝枕されたままだぞ」
「………………」
「これは俺達だけの秘密だな」
「そうね」
「昔に戻ったみたいだ」
「こんなことした覚えはないけど?」
「なあ、」
「なに?」
「なんでもない」
「はあ?」
気が付けば後悔ばかりだ。ああすれば良かった、こうすればよかったの他に、シュウに想いを伝えればよかった、妹の美琴と一緒に居ればよかった、なんて馬鹿みたいにたくさんでてくる。
全て過ぎてしまったこと。もう取り返しのつかないことは誰よりも私が一番よくわかっているのに、こうしていると考えてしまう。
いつまでもシュウの膝の上に乗っているわけにはいかないので起き上がり身震いをする。やはり寒くて死んでしまいそうだ。
シュウが私を引っ張り近くに寄せるので、抵抗したけれど一切力を緩めようとはしない。腕っ節には自信がある私だが、シュウに勝てたことなんて一度もなく、いつもピンチに助けてもらうばかりだった。
私はいつでもシュウの背中を追いかけて、追いついけたことは一度もない。遠くの存在で幼馴染なのが奇跡なくらいだ。現に私は社会のゴミみたいな人間で、彼は世界的に有名なFBI、しかもキレ者で凄腕スナイパーだ。天と地の差がある。この距離が埋まることなんて一生ないのだろう。
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作者名:真城瑠雨 | 作成日時:2018年7月1日 21時