再会 Ki ページ13
なんで....なんで....
なんで....！！
俺は慌ててドアを開いた。
「よ、横尾さ....っ」
途端に、一気に溢れ出す涙。
止まらない涙に、俺は横尾さんを前にしながら言葉を発することが出来なかった。
もうに２度と逢えないと思っていた。
逢うことは叶わないと思っていた。
「入っていい？」
困ったように言う横尾さんに頷いた瞬間、俺の身体は横尾さんの腕の中に閉じ込められる。
「ミツ....逢いたかった」
「お、俺だって....！！」
２人で暮らした部屋で、俺がどれほど孤独に胸が張り裂けそうになったと思う？
横尾さんの気配だらけのあの部屋で一体どのくらい涙を流したと思う？
俺を死なせない為の嘘だと分かっていても、それでもいつか本当に戻って来てくれるんじゃないかって思って、俺はずっと、ずっと....
ずっとあなたのこと....
「生きてて、良かったっ....！！」
「勝手に殺さないでよ、戻ってくるって言ったでしょ」
横尾さんが密やかに笑う。
変わらない匂い、変わらない声、変わらない肌の温もり。
忘れるわけがない。
俺に初めて愛をくれた人。
俺が初めて愛した人。
「幾つになってもミツは相変わらず泣き虫だね」
「うるせぇっ」
横尾さんにはきっと理解らない。
俺がどれだけ横尾さんに生きててほしかったか。
逢いたかったか。
この日を夢見ていたか。
「ミツ、顔を上げて？もっとちゃんと顔が見たい」
「やだ....」
「もう、子どもみたい。顔上げてよ、キス出来ないでしょ？」
俺は瞬間的に顔を上げる。
「もう、鼻水まで垂らして」
横尾さんが笑いながら、自分の服の袖で鼻を拭ってくれる。
「あ、服、汚れるじゃんっ」
「今更でしょ」
そう言って、横尾さんの端正な顔が近づく。
俺はそっと目を閉じた。
∇
「写真やってるんだって知った時、本当に嬉しかった」
事務所の壁に貼られた様々なポスターを見ながら、横尾さんが嬉しそうに笑う。
「ミツの写真は生の輝きに満ち溢れてる。凄くミツらしい」
「横尾さんは今まで何してたの？」
横尾さんの背後に抱きつきながら俺が訊けば、
「甘えん坊だね」
振り返った横尾さんが優しく俺を引き離して、ソファーに手招きした。
久しぶりすぎる再会に、俺の動悸は治まらない。
なのに至って冷静な横尾さんに腹が立つ。
俺だけすげぇ盛ってるみたいじゃん。
それでも逢いに来てくれたんだからと自分を慰める。
２人ソファーに並んで座って座ると、横尾さんが俺の頭をそっと引き寄せた。
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作者名：ましろ
| 作成日時：2018年3月26日 20時
