Addicted 5 ページ5
ジャンクはシモンズと共に搬入口へと急いだ。
――夢であってほしい。自分は関係ないと思いたい。
そういう思いでジャンクは走った。
しかし、その思いは一気に打ち壊されてしまった。
「そん・・・な・・・ばかな・・・。」
昨夜会った男が搬入口で倒れており、彼はすでに絶命していた。
彼の遺体を見てジャンクは青ざめ、目を見開いた。
「彼の名はマシューという名の囚人ですね。」シモンズは男について話した。
さらに、シモンズによると、マシューはかつて、孤島で遭難した者を救助したと偽り、研究と称して自分が作った仕掛けで何人もの人命を奪ったシリアルキラーだった。
彼は生存者の証言で逮捕され裁かれ、この刑務所に送られ数日後には死刑
を控えていたらしい。
その情報を何処で知ったのかマシューは脱獄をしようとしていたらしい。
だが、事件が起きた昨夜、何者かに襲われた。というものだった。
そのマシューの死因は頸動脈から大量の血が抜き取られており、失血死と判明。
それを裏付ける証拠として首筋には何者かの牙の跡が残っていた。
ルトガーはマシューの死因をそう分析した。
まるで、ヴァンパイアが襲ったかのような傷痕だった。
隠していてもいつかは分かってしまうと判断したジャンクはシモンズとルトガーに真相を話した。
「このマシューって囚人は俺が殺した。」
2人は耳を疑った。
「看守長、嘘ですよね?」
「マシューは頸動脈をやられてるんですよ?ヴァンパイアでもいたのであれば話は別になりますが・・・。」
ジャンクは自分がそのヴァンパイアだと2人に話した。
そして、昨夜起こったことを話した。
昨夜、ルトガーのいた医療棟を出た後、夜空を見ていた。そうしたら少しばかり治まっていた筈の渇きの症状が発症した。
何かが暴走したような感覚に襲われ、たまらずうずくまっていた際に物音がしたからその方向を見た。
そこには一人の男が立っていた。ジャンクが手を下したマシューだった。
会ったこともなく、彼に関するリストもまだ読んでいなかった。
だが、彼は死刑が決まっていた凶悪犯だとすぐに分かった。
その時に身体が勝手に動いた。
先程まで渇きがひどくて動くことすらできなかったのにだ。
マシューは医療棟へと走った。
おそらく、恐怖を感じたからだろう。
しかし、逃げることができなかった。
そこまでしか覚えていない。とジャンクは話した。
しかし、朝起きたら自分は血まみれだった。
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KAGE(プロフ) - スッゴク面白かったです!!ハラハラしながら読ませていただきました!! (2018年3月10日 20時) (レス) id: 1ffb47dc38 (このIDを非表示/違反報告)
松師匠 - すごく面白かったです!!話が予想以上に作り込まれていて…本当に良かったです!! 評価10押しておきますね!! 素晴らしい作品をありがとうございます (2017年12月12日 1時) (レス) id: 1531b34ca2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:cecilia | 作成日時:2016年8月28日 22時