秘密の花園 ページ43
side.All Might
はっ……違う違う、口調より大切なことがある！驚いて思わずそちらを優先してしまったが……気を取り直し扉を静かに閉めて、胡乱げな視線を寄越す讐井少女に向き合った。
「讐井少女……煙草はいけないよ、悩みがあるなら私に相談してみないかい？」
「誤解があるようねェ、これは煙草じゃあないヨ」
「えっ」
喉に良い薬草を束ねたものサ。私は扁桃腺ッてのが他人より大きいらしくてね、よく喉を痛めちまうんだヨ。だからこれを、仮眠室を借りて呑んでんだ。もっとも、リカバリーガールと校長先生しか知らんがね。
すぱーっと煙を窓の外に吐き出す。確かに、鼻腔をくすぐるのはハーブの香りだ。普段のたおやかな彼女にも、今の江戸っ子気質な彼女にも似合わない、爽やかな香り。
「それで？あんたさんは何処の何方？見ない顔だが……なんで私の名を知ってるんだい？」
「えっあー……ふ、普通科のほうの教師なんだ。君はヒーロー科入試で歴代最高得点を叩き出して入学しただろう？だから、雄英の教師ならみんな知ってるさ！」
誤魔化したか、誤魔化しきれたか！？讐井少女は妙に勘が鋭いからなぁ、ボロを出せば一瞬でバレかねない！でも雄英の先生なら〜のくだりは本当だから……！
背中を滝のような冷や汗が流れる。しかし私の心配は杞憂に終わったようだ、彼女は特になにも追求せず、短くなった薬煙草を黒炎で散らせた。
「へェ、そういうもの？……なら、敬語の方がいいかねェ」
「いや、構わないよ。楽にしてほしい。だが、不思議だな……そっちの話し方が素なのかい？」
「素？……うーん、どうだろうなァ。気が抜けるとコッチに切り替わるが……普段のも間違いなく素だよ」
血色のいい唇をつつき、美貌のしょう……じょせ……少女は軽やかに身を翻す。……本当に仮眠室を使い慣れてるね、私、その戸棚に紅茶の缶があったなんて知らなかったよ。
「あんた、暇かい？暇なら茶の1杯付き合ってくれや」
「ああ、是非。何か手伝おうか？」
「良いよォ、待ってな。私が誘ったんだ、こっちがもてなすのが礼儀ッてモンだろう？」
にま、と目元だけで笑ってみせた讐井少女。バッグから取り出したタッパーを開けば、輝くクッキーが並んでいる。おお、これが……相澤くんが一口で崩れ落ちたという伝説の……！それでは私も1つ……もぐ……
「……美味しい……」
「おお、どうした先生、机に突っ伏して」
相澤くん、大袈裟だと言ってごめんね……これは崩れ落ちるね……
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シトネ(プロフ) - 長座体前屈は前提として手を台に置いていないといけないのでは (2018年12月15日 17時) (
レス) id: 34741035d2 (このIDを非表示/違反報告)
水彩画(プロフ) - そういうことだったんですね、納得しました！私の想像力がないばかりに申し訳ありません。個性ありですもんね、おもしろいです！返信ありがとうございました！ (2018年2月18日 13時) (レス) id: cc7912d21e (このIDを非表示/違反報告)
四方津(プロフ) - 水彩画さん» こんにちは！長座体前屈ですが、讐井ちゃんは測る機械を炎でぐいーっと押して記録を伸ばしました！個性有りならばこういう使い方もありなのかな？と考えまして…分かりにくくてすみません。 (2018年2月17日 17時) (レス) id: 01916e1ba4 (このIDを非表示/違反報告)
水彩画(プロフ) - ごめんなさい、個性把握テストについてなのですが、長座対前屈が324ということは、上半身が3メートルあるんですか？それとも、ぐにーっと延びたということでしょうか？つい、気になってしまい質問させていただきました。この作品が大好きです！ (2018年2月17日 17時) (レス) id: cc7912d21e (このIDを非表示/違反報告)
四方津(プロフ) - フユキさん» ありがとうございます！折を見て掲載させていただきますね！ (2018年2月15日 8時) (レス) id: 01916e1ba4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：四方津 | 作成日時：2018年1月5日 15時
