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二十六話 ページ28

A視点



湯呑みを貸してもらって茶を入れて貰い、三日月の隣に腰掛ける。

入れて貰った茶はとても美味く、夜風に当たって冷えた体が少し温まった。



そうして俺が一息つくと、三日月が尋ねて来る。



「その服は光忠の物か?随分と大きいなぁ」


『ああ。これ以外に着る服が無くてな』


「はっはっは。何にしても、大きい事は良い事だ」



………んん?微妙に会話が成立しないぞ??



何故だと首を傾げる俺を置いて、超マイペースな三日月は話し続ける。



「それにしても………これはこれは。確かに鶴の云う通りだな」


『何がだ?』


「いやなに、鶴も、俺も、そして恐らくは他も大勢…………春を告げられてしまったと云う事よ」


『?………確かに鶯は春告鳥と云うらしいが。私は一度も春を告げた覚えは無いぞ』


「分らぬならそれで良し。それにそう遠くない未来、嫌でも分かる日が来るだろうからなぁ。

いや、分からせられると云った方が良いのかもしれないが」



また謎が増えたんだけど??

は?何?なんで俺大勢に春告げた事になってんの?俺春告げた覚え無いんですけど??

つーか俺鶯じゃねーから!刀(中身人間)ですから!!



それに聞いても煙に巻かれるし分かんねーし。分からせるって何だよ不穏過ぎ………



あと如何でも良いけど………いや良くないが。

なんか凄い悪寒するんだけど………



そうして俺が人知れず悪寒を感じ首を傾げていると、三日月がまた朗らかに笑う。



「はっはっは。鶯の初音を聞くのは何時か、其れは誰か………まぁ、気長に待つとしよう。

じじいだからな、待つのは得意だ。いや然し、自ら鳴かせに行くのも趣があるなぁ」


『………そ、うか………まぁ、良く判らんが………聞けると良いな………?』


「嗚呼、中々に手強そうだが………手に入れて見せよう」



やばい悪寒が止まらない。なんだろう、普通に会話してるだけなのに悪寒が止まらない。

普通に怖い。さてはお前ラスボス系の三日月だな??



俺は精神疲労回復の為に茶を啜った。美味しいかった。




___________


初音…その年一番の鶯の鳴き声の事。三日月は鶯丸が誰かに惚れたという意味で使った。

これから鶯丸は三日月に(それ以外にも)積極的にアプローチされる。


春告鳥…その美しさ(声や容姿に限らず)で、色んな刀剣に恋を告げたという意味。


大きい事は云々…大きくてぶかぶかな服の隙間から、大きなお胸がチラ見できる。普通にセクハラ。

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リオン♛ - 四十話の仕組み凄いですね❗ (2022年7月28日 9時) (レス) @page43 id: b70e4d72d6 (このIDを非表示/違反報告)
梨の子(プロフ) - 今更ですけど青くして調べるって押したら出てきましたよ!! (2021年7月23日 10時) (レス) id: 52f349caa9 (このIDを非表示/違反報告)
豆腐教信者(サブ垢)(プロフ) - 彼岸花さん» あれ?なんででしょう……? (2018年10月24日 16時) (レス) id: 787e58ff6d (このIDを非表示/違反報告)
彼岸花(プロフ) - 四十話の文字を選択で青くしても見れませんでした… (2018年10月24日 3時) (レス) id: da7e05a086 (このIDを非表示/違反報告)
豆腐教信者(サブ垢)(プロフ) - 阿国さん» いえいえ、こちらこそこの作品をご愛読下さり有難う御座います! (2018年10月11日 19時) (レス) id: 787e58ff6d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:豆腐教信者 | 作者ホームページ:   
作成日時:2018年9月15日 19時

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