【文スト】転生以下略したら太宰治の姉でした。 (ページ33)

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悩みが三十一ページ33

A視点

私は出来るだけ悲しそうな顔を意識して作り、弟の頬を撫でながら言う。

『確かに幸福ではあるかもしれないけど。もう偶像は嫌だし、他の人達に不幸が降りかかるのも望ましくない。』

そう言うと、弟はとても不可解なものを見るような目で、私と同じ光の灯っていない瞳で、私と目を合わせる。

アッ因みに「もう」偶像が嫌っていうのはちょっと幸福にできる異能の所為で一時期教祖様的なのをやらされてたというか。

幸福漬けの感覚に抗えない人たちによって、ちょっとした宗教みたいなの出来ちゃった。

まぁ私の異能って使いようによっては法規制されてないとびきり効いてとびきり依存性のあるドラッグみたいなもんだし。

金の生る木。金の卵を産む鳥。喉から手が出るほど欲しい人は沢山いる。

ヤダ私好かれても嬉しくない層から嬉しくない好かれ方で好かれ過ぎ～～！？！？

……本当に胃が痛い……私が一体何をしたと……

「……姉さんは何時もそうだ、他人の心配ばかり。この世界においては珍しい程に。」

『そうだね。だから私はきっとこの世界に向いてない。流れでここにいるだけだから。

それでも、才能はある。大人よりも成果を上げることが出来る。だから、これから誰よりも人を殺す。

でも、そんな私にも……思いやることぐらいはさせて欲しい。だから、姉さんの頼みを聞いて。治。』

必殺！弟の弱い所を突く！！なんやかんやで私を好いていて私に甘い弟の事だからこれでいける！！多分きっと恐らく！！！

「……そんな言い方されたら僕が断れないことぐらい知ってる癖に。狡いよ、姉さん。」

『大人は狡いものだよ。一つ勉強になったね。』

「姉さんもまだ十七でしょ。」

か、勝った～～～～～！！！！！！よっしゃ！！人心掌握奸智の権化たる弟に勝った！！！第三部完！！

これで暫くは安全だ！！やったぜ！！

「ていうか手前等俺のこと忘れてンだろ」

「『……あっ』」

ちゅやさんには貸し一つと言うことで黙っていてもらった。

明らかに胃を痛めている顔をしながら頼めばあっさり貸し一つで承諾してくれた辺りに性格の良さが伺える。

全くどこぞの弟とは大違いである。本当に助かった……

因みに後日、この貸し一つで私は中也さんにスパダリの片鱗を味わいながら逢引き(デェト)に誘われることになる。

そして当然の如く弟が荒れに荒れ、更に一波乱あったりするのだが、それはまた別の話。