【刀剣乱舞】死んだら桜の神様に成ってしまったんですが。

弐拾陸話 ページ29

A視点



それとはまた別の日。

私が人型を取りつつ、日向ぼっこに興じていた時である。



『これは…………光合成なのか日向ぼっこなのか、どっちなのかしら？』


「あ、あのー…………」



後ろから声を掛けられ、私は振り向く。最近後ろから話し掛けられてばっかりだなとか思いながら。

後ろには、袴を着たそこそこイケメンの黒髪黒目の男が立っていた。



私の記憶の中にこんな刀剣男士はいないので、此処の審神者だろうかと結論付ける。

何やらぽーっとしながら私をガン見している。いや話し掛けたのお前だろ。

そう思いながらもらちが明かないのにイライラし始めた私は、にこ、と微笑みながら話し掛ける。



『こんにちわ、かしら？』


「っは！こんにちわ！！ああああのののお姉さんんんめっちゃ綺麗でですねえ！！？？」


『あら、ありがとう』



何だろう、この拭いきれない男子高校生と云うか、初心な男子中学生感は。



『で、どうかしたの？』


「ああ、あの、ええええっとでですね？」


『落ち着きなさい。ちゃんと聞いてあげるから』


「おふぇあはい！」


『ねぇ、本当に大丈夫？』



私が少し心配になってきたあたりで、やっと話が本題に入る。

因みに、これだけのことに数十分かかった。やっとだよ。



「あの、ですね。近々、宴会を開こうと思っておりまして」


『成程ね、良いんじゃないのかしら』


「で、あの、折角なら、庭一番の桜の木の下で、開きたいと」


『へぇ、つまり許可を取りに来た訳ね？別に良いんじゃない？賑やかなのは好きよ』


「やっぱり駄目ですよね…………」


『聞いてる？別に良いわよって』



そんなやり取りを数回した後。



「えっ！！！？？？いいんですか！！！！！！？？？？？」


『その段階に来るのが遅いのよ。もうとっくに終わってる筈なのよ。

数回もする必要なかったでしょうに』


「すみません…………」


『いや、別にいいのだけれどね？』



なんかすごい疲れた。あとで寝よう、とか考えながら、私はやっぱり笑うのである。

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