【刀剣乱舞】死んだら桜の神様に成ってしまったんですが。

拾弐話 ページ14

A視点



鶴丸は私の元を去らずに話を続ける。

正直、私は疲れたので早く帰ってほしい。



そう思ってると、鶴丸が私に近づいて顔をぐいと覗き込んでくる。



わぁ、鶴丸綺麗…………(現実逃避)



「いやぁ、君、心が死んでるんじゃないか？」


『いきなり失礼ね…………でも、月のにも言われたわ。

どうせ笑顔に感情が無いとか空っぽだとかでしょう？余計なお世話だわ、本当に』


「だがなぁ、心が死んじまうと愉しいものも無いだろう？」


『穏やかで、退屈で、愛されていて、美しければそれでいいわ。貴方には分らないでしょう？』


「ああ、わからん。俺は刺激が無ければ退屈で死んじまうな」



ああ、鶴丸らしいなとか考えながら返事をする。



『退屈な事は悪い事ではないわよ』


「刺激的な事も悪くないぞ？」


『そう、かしら？変化を求めるのはとても辛いと思うのだけれど。』


「いやいや、そんな事は無い。楽しいばかりさ。君は少し保守的過ぎるんじゃないか？」


『保守的な位が丁度良いわ。保守的だからこそ、私の時間は春のまま止まっているの。

愛されているの。美しいの。だから、私は私を求められるためにずっと保守的で居るの』



そう云って両手を広げる。桜がひらりはらりと舞い、ちらちらと視界の端っこに映る。



『視て。保守的だからこそ、理由も無く美しい桜は今日も愛される。』



そう云って、今度は空っぽとは言わせまいと、渾身の笑みを顔に浮かべる。

鶴丸は息を止めた様に、硬直と云うか呆然して私を見た後にハッとして動き出す。



「あー………まぁ、云いたい事が無い訳じゃ無いが、その辺りはもう三日月が云ったんだろ？」


『言われてしまったわね』


「まぁ、好きな様に生きるのも大切だしな。じゃ、俺は行くぜ」


『ええ、さようなら。出来ればもう来ないでね』


「酷い事を云うなぁ、きみ」


『事実を述べたまでよ』



そんな会話をして、ひらひらと適当に手を振って鶴丸を見送る。

さて、これから何しようかとか考えながら。

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