【刀剣乱舞】死んだら桜の神様に成ってしまったんですが。

物語の始まり ページ1

A視点



唐突だが、私は死んだ。



いや、うん、バーッと通ったトラックに轢かれて死ぬと云う今流行りの死に方で死んだ。

今は全く関係ないけど思い出したので言わせてもらうと、車に旧漢字の楽しい、つまり車は樂しいって書いて轢くって書くぞ。怖いね。



因みに、自分が死んだと云うのに何故これほど落ち着き払っているかと云うと、意味不明な事が重なって起きた所為である。



つまり混乱しすぎて逆に落ち着いた。人間って不思議。



いや、今人間じゃ無いっぽいんだけども。



私は現実逃避から戻り、目の前の池に映った私の姿を見つめ直す。



桜色の髪をしていて、浮世離れした美貌を持った桜に攫われそうな女性が水面越しに私を見つめ返してくる。



トラックに轢かれて物凄い痛みと共に視界がブラックアウトしたら、何時の間にか此処に倒れてたんだよねー…………

起き上がって、傍にあった池を何と無く覗いてみればこの有様だよ畜生。



…………頬を抓ってみるが、普通に痛い。

夢じゃねぇなコレどういう事だ。



私は極めて静かに混乱する。



うん、うん、落ち着いて確認しよう。まず此処は何処だ。



辺りを軽く見回すと、日本庭園に興味が無い私でも感心するほど綺麗に手入れがされている途轍もなく広い庭園に倒れていたことが分かった。

そして、傍にあると云うには遠すぎて、遠いと云うには少し近い距離にこれまた大きな日本家屋が方に見える。



そして、美しく厳かで、何処か親しみと懐かしさを覚える、大きな大きな桜がすぐ傍に咲いていた。らしくも無く一瞬見とれた。



大きい物ばっかりだなと呑気に思えるのも一瞬、マジかよ知らぬ内に不法侵入しちゃってるよと直ぐに焦り始める。



ヤバい何処に謝りに行けばいいんだ。あの馬鹿でかい日本家屋か？

えぇ嫌なんだけど。あんなヤクザが住んでそうな家に行きたくない。まだ生きたい。

一回死んだけど。いや、あれは死んだのか？実は生きてたのか？いやでも痛みはリアルだったし…………



て云うか何？周りの季節秋なんだけど？なんでこの桜だけめっちゃ咲いてるの？？



それよりなんで私は美女になってるの？そしてなにゆえ髪がこんなに桜色なの？



…………頭痛くなってきた…………



私は溜息を一度大きく吐いて、目頭を押さえて天を仰ぐ。

憎たらしい程の晴天が私を出迎えた。

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